第14話 占い師の告白
「あの占い師にさ、真実を突きつけたらどうなると思う?」
「取り乱すか」とはアンドリュー
「自殺するか」セバスチャンが言うには、意志の固い人物が、
どうしようも否定的ない事実を受け入れたとしても、最終的には自殺を
選んでしまう可能性も否定できない。それもそうよなぁ・・・
だからと言って、言っておかない訳にはいかない、私の濡れ衣は晴らせないからだ。
「やはり言った方が良いと思うんだが」
「サマンサがそうしたいなら、それでいいと思いますよ。
真実は一つしかないわけですし」エマは良く解ってるねぇ・・・
それから1カ月して
「詰所に占い師が来ました」
「えっ?サマンサさんに面会?」ロレーヌちゃんから連絡があって。
部屋のドアがノックされ、「失礼する」と入ってきたのは誰あろう、
占い師リン・ジャネットその人だった。
「キミたちは、すでに知っているであろうが、父の戦死は犬死だった。
聞けば一番危険な最前線に送られ、支援もないまま敵軍に突撃を強要され
そのまま帰らなかった。後で所属していた隊の隊長が戦死した父を発見した。
だから私は王族が憎かった。王族はいつも後ろにいて指示をするだけ、自分は
そんな奴らが嫌いだった。」
「・・・」
「いつかそんな奴らに復讐したかった、ちょうどそこで王太子の弟と知り合った。
これはチャンスだと思った。だからこそ何か貶めてやろうと思っていたところだし
ちょうど国王夫人の疑惑があって、それを王太子に罪を擦り付けるような
話をしたってこと」
「・・・あんたのわがままで処刑されたじゃない?王太子は」
「それは誤算だった。ただ私の悲しい気持ちを分かって欲しかった。それだけ」
「王太子が直接、指示したわけじゃないでしょ?なのになんで王太子なのさ」
「いや、それは・・・ちょっと、マズかったとは思ってる・・・」
「そのとばっちりが私にも来たんだよ」
「どういうこと?」
「国王夫人の疑惑の発信元は私ってことになってたんだよ!」
「えっ・・・それは知らなかった。ただ王族に・・・」
「あんたの気持ちも解らないではない。でも赤の他人に罪を擦り付けるとか
そういうのは許せない。あんたこそ死刑になるべきよ」
アンドリュー皇太子が「いや、それは言わない方が」とか言うけどさ。
言わなきゃ解らんでしょ?事実私は2度も死刑宣告されたのよ!解る?その気持ち。
占い師が泣きだしちゃってね。
「すみません!私はホントに軽い気持ちでオリヴァーさんに話しただけなの。
聞いてほしかっただけ。だからこんなことになるとは思わなかった。
それはホントよ。信じてもらえないかもしれないけど・・・」
「軽い気持ちで何人もの被害者を出したこと、解ってるよね?」
「・・・はい・・・どんな罪も受け入れます」
「分かった、その気持ちだけ受け取っとく。どんな罪になっても受け入れるのね」
「はい」
「しばらくは占い師の仕事は続けるのよ。わかった?」
「はい・・・」
「たまにお店に行くから、しっかりしなさいよ」
とは言うものの、彼女に罪を問うのは難しそうだし、どうしたものか・・・
「セバスチャンはどう思う?」
「難しいですね、彼女はそっとしておいた方が良さそうですが」
「私も同じです」アンドリューもローリングスもロレーヌちゃんも同じなのね。
エマは「とするならオリヴァーをどうするかですよね?」それよ!それ。
「アンドリューはどう思う?オリヴァーをどうしたい?」
「もう国から出て行ってほしいですよ」
「わたしも同じ、おそらく国民皆がそう思っていると思いますね」
「なら、追っ払う方法を考えないとダメよね」
「・・・それが出来れば・・・」
問題はあいつをどうするかってことになって来た。さて・・・
第14話 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます