第12話 王太子の素顔
異世界で死刑とかマジ有り得ないんですけど。
まぁそれはともかく、何か考えないとね。
「ねぇ、あのオリヴァー王太子ってどんな奴なのさ?悪知恵働くとか、無能だとかは
知ってるけど」
アンドリュー皇太子がいうには
「彼は処刑された兄ともう一人弟がいます。3人兄弟なんですが、
オリヴァーだけが劣等生だったようですね、この国の王族はすべて士官学校で
学ぶことが決められていますが、彼はどの授業も最下位かそれに近い成績の様で
それがコンプレックスだったようですね」
「それに兄も弟も、なかなか眉目秀麗なんですが、彼だけが別の人種かと思うほどの
ブサメン・・・あっ言っちゃいました!」
「オリヴァーの弟もこれまた優秀な人でしてね、いまは隣国との戦争に我が国の精鋭
王国親衛隊を率いて参戦中です。沈着冷静、頭脳明晰、武勇に優れている
我々も一目置く人物です」
「その弟さんは、いつごろ帰ってきますかね?」
「うーん今は最前線で敵と戦っているようですから、しばらくは戻れないでしょう」
「とすると、その弟を使うってのは無理そうね」
「ですね」
「オリヴァーって奴は一日はどんな事してんのよ?」
「朝と夕方に国王に謁見し、仕事の報告とか指示を受けているようですが、
それ以外の時間は自室に籠っていて、食事も部屋で取っているので、
自分の部屋と国王の間との往復くらいですね」
「あとはメイドや執事が出入りする程度ですが、たまに来客があるようです」
「来客?どんな人?」
「我々も良く解らないのですが、占い師と聞いた事が有ります」
「占い師ですか・・・その占い師は何時頃から接触している?」
「えーっと、いつ頃かは全く不明ですね、
1カ月に1回とかその位で来ると聞いています」
その占い師とかが怪しいよなぁ・・・何とかそいつと接触できないものか。
「占い師が宮殿に入るには許可が必要でしょ?」
「もちろん、部外者の出入りは厳重にされています」
「ならさぁ、そいつが来た時に、うまく話してこっちへ来てもらうか、
こちらから行くか出来ないかな?」
「それは可能だと思います。
ただその占い師が余計なことをしゃべらなければという前提条件が付きますが」
そりゃあ、そうだわ。どう考えてもね。占い師がどんな奴かを見ておく必要はある。
「許可申請があったときに、詰所かなんかあるでしょ?
そこで様子を見るとか、後をつけるとか出来ない?」
なんかみんなやりたくない顔してんのよねぇ・・・んなことでどうすんのよ!
「私やります」若い方のメイドが「サマンサさんのためなら」だってさ。
よく言ったね。お姉さん嬉しいよ。ロレーヌちゃんがんばろうな!
それに引き換え、二人の皇太子は・・・んだかよ!見掛け倒しかい!
「いやいやぁ・・・出来ないわけでは・・・ないんですが」
出来ねえんだろ!お前らはよ。ったく。
やがて
「サマンサさん、みなさん!あの占い師が来ました!いま詰所にいます」
来たか!「じゃあ私後を付けます!」
「ちょっと待った!俺も行く!ロレーヌ一人では危ないからな」
セバスチャン皇太子が行くっていうけど、そのなりではバレないか?
「大丈夫、変装していきますから」「変装?」
しばらくしてセバスチャン皇太子を見ると、メイド服着てんのよw
「なにしてんの?」
「メイドのセバスチャンです!」ですじゃねえよ!ガタイ良すぎるから
変装してても、すぐ分かると思うがなぁ。
「じゃあ行ってきますよ」
「行ってきました」ロレーヌと変装したメイドのセバスチャンが帰ってくる。
「詰所で衛兵にバレまして・・・」でしょうね。どう見てもバレると思うが・・・
「でも私が尾行してきましたよ」
「どうだった?若い女性でしたね、サマンサさんと同じくらいか、ちょっと下かな」
若い女性の占い師・・・もしかして事件の黒幕はこいつか?
「ちょっと話も出来ました」
「おおおおーロレーヌちゃん有能!」
「士官学校にいたときに知り合ったようですね、王太子が処刑される前から
オリヴァー王太子に会っていたらしいです」
「結構前から会っているんだね、会ってなにしてんの?」
「占いもするようですが、雑談で終わることが多くて、次は1か月後だそうです」
「ねぇローリングス、あの占い師を調べることできる?」
「はい!サマンサさんの依頼ならなんでも💛」
だからなんでお前は、そうなんだ?目がハートになってんだよ!キモいから止めて!
ローリングスの調査によれば。
あの占い師はリン・ジャネット29歳、あら私と同い年ね。
この宮殿のある都市の一角で占い師として商売をしているらしい、
オリヴァーを知ったのは士官学校に通ってたやつが、外出した時にその占い師を
尋ねたんだと、それから何度か外出するときに通っているうちに、仲良くなった。
ええーーあんな奴と仲良くなる?
「いえ、オリヴァーは初めからあんな容姿ではありませんでした、
士官学校に通ってた時は私たちと同じように、そこそこ美男子でした」
美男子でしたってお前らはイケメンだが、そいつまで?
「学校の成績がうまく上がらないことを悩んでいたらしいのですが、そのころから
どうも暴飲暴食だった模様です」でその成れの果てがあれか・・・
悩みをその占い師に相談してたんだろう・・・そう考えると可哀そうな気もするが。
占い師に直接会えないものか?
「ローリングスさぁ、その占い師とやらに会えないかしら?」
「まずその前に、ここを出られるようにならないと」
そりゃあそうだが、どうやってここを出るかなぁ。
第12話 完
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