第032話 勇者の血を引く者たち

第32話 そして伝説へ


【襲名! 石風呂P右衛門】某報道番組にて……

「晴れて、猫宮伊右衛門さんが二代目虎屋五右衛門に。

初代虎屋五右衛門さんが石風呂P右衛門を襲名されました」


和名にアルファベットが埋め込まれる斬新さが

視聴者の目を惹く石風呂P右衛門の襲名披露。


当初はユニバース・バディ・バトルの結果次第で

襲名披露の日程を組む予定だったが

話題性に便乗して、勢いにあやかった。


特殊空間移動の知名度は低かったが

一回戦VS永久永遠、瀬海池澄では

若い二人から絶えず主導権を握り続けて

完膚なきまでのワンサイドゲームを成立させた。


空間内で身動き一つ取れないのに

時間だけが経過して行く恐怖を永久永遠は、こう語る。

「まさに悪夢、この世の終わり。

二人が順番に特殊空間にいざなって来るので

トワのような耐え難い時間が緩慢に経過しても

又、苦痛なる秒針が時を刻む」

あの永久永遠が人目も憚らず、

「トワ」なんて言葉を使ってしまう程

永い永い空間支配が根底に流れて行った。


バディの瀬海池澄も蚊帳の外で

相棒が殴打される姿を見せつけられて

苦痛なるひとときを体感したと言う。

「私の回復体技が彼に届いたなら、

戦況が変わっていたと信じたいけど、

ぐったりと気絶した相手に、

頭から水を被せるような効果しか無いのなら

自重自粛するしか、術は無かったのかなあって」

特殊空間移動の使用活用は、

これからのバディ・バトルに新風を巻き起こすかも知れない。

先駆けとなる虎屋五右衛門/石風呂P右衛門の二人は

多くの門下生を従えて、左団扇で暮らす?

それも全く悪くないヴィジョンだろう。

次回のバディ・バトルに出場しなくても

確たる喰いぶちを保証されているのなら、

無理をする必要があるとは思えない。

寧ろ、一番弟子の野火井園に好機を与えるのが筋なのでは?


とにかく、二人は襲名披露を果たして、大きく知名度を向上させた。

これ以上に無い結果を生み、開運を招き入れることに成功!

まさに招き猫たるゆえん、旧名の猫宮が示す通りとなった。

猫の手も借りたいくらい、忙しい日々が待っている。


彼等はLEGENDの名を欲しいままに。そして伝説へ。

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