第025話 White Lie

第25話 あの業だと?

「何のはったりだ?」

怒り心頭の井園。

「アンタ等のデメリットからの提言なんだろ?」

疑惑疑念の野火。


「私達は使役だから負けてもいいんです」

心中告白のクエス。

「二回戦迄温存しないと、大きな痛手を喰らいますよ?」

警告忠告のエクス。


単純明快な心理戦が始まる。

メモリーブレイクの噂は耳に入っていたが

特殊空間移動を一回戦から封切することは

この姉妹がアラートするように

今後の自分達の首を絞めることになるのか……?


「俺達もさ、メモリーブレイクのことは粗方知ってるんだ」

「アンタ等は俺達の得意な術中にハマることで

何か苦境に立たされたりするのかい?」


「メモリーブレイクは、条件次第では自粛します」

「貴方達も、必殺の特技を封印して

体技オンリーで来られてはどうですか?」


「ああ! なんかもういいや!」

痺れを切らせる井園カッツォ。

「俺の体技は軟器を介した圧力拳だ。

硬度では無く拳圧で与ダメージを増幅して行く」

腰に下げた白い風船上の物体は、

どうやら拳に装着するグローブらしい。


「流石だ、相棒! 全部ばらしちまおう。

俺様の体技は軟器を介したスライム拳だ。

スライムを拳にまとって力いっぱいに振り抜く。

相棒は拳圧だったが、俺様は触圧だ。

いわゆる痛気持ちいい触圧の中毒になるって言う戦法さ」


井園カッツォ:軟器による圧力拳。with風船グローブ

野火ロイター:軟器によるスライム拳。withどろどろ


風船グローブも、スライムコーティングも

いわゆる骨ばった硬い硬い拳骨を

やさしいオブラートで包むことにより

痛みが分散される錯覚を覚える。


拳圧、触圧と言う言葉を用いたが

何らかの圧は皮膚に到達している。

何を食べても0kcalで返す、中堅のお笑い芸人が居るが

圧力は決して0ダメージでは無い!


鋭利な刃物は没収、攻撃魔法は禁止の時代

見出したのはコンプライアンス違反にならない

優しく甘美な、恍惚の一撃!

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