第019話 羊羹、喰い放題!

第19話 二代目襲名!

猫宮伊右衛門【CODE NAME D】は

野火家の客間でぼんやりしていた。

特殊空間移動補助を一躍買う約束をしたものの

ユニバース・バディ・バトルに三人目の関与が許されないのは明白だ。

でもなあ、そうは言ってもスポンサーを勝ち取らないと

大好きな和菓子に囲まれた生活を送れない。


師匠の虎屋五右衛門の顔が浮かんだ。

彼は大手の虎屋から名前を借名して、悠々自適な生活を送る。

吾輩だって、週末位は羊羹を食みたい!

そんな願望が浮かんでは消え、浮かんでは消え。


「だったら、アンタ自身が虎屋になればいいじゃねぇか」

雲を掴むような話を、簡単に言ってのける野火ロイター。

「アンタも虎屋を名乗れば羊羹生活、簡単な話だろ?」

確かに単純明快だが、虎屋伊右衛門は世間に必要か?

「襲名ってのはどうだ? アンタが虎屋五右衛門に成る」

二代目襲名か、決して悪いアイデアでは無い。

「先代に俺から掛け合ってやってもいいぜ、アンタは虎屋で在るべきだ」


この話の結末に、野火井園のメリットはほとんど無い。

寧ろ、吾輩が二代目の虎屋五右衛門を襲名してしまえば

特殊空間移動に関する関わりは益々減るだろう。

それでもいいと申すなら、吾輩、本気で目指しちゃいますよ?

正直、高級和菓子の虎屋の羊羹は大好物である。

毎日だってむしゃぶりつきたい!


さあ、若者達よ、ここが大きな分岐点。

吾輩が厳粛な二代目襲名披露を迎えるまでに、

特殊空間移動の神髄を極めることが出来るかな?

君達が「傷令」「法令」を遵守することは聞いている。

そして、最近、ユニークな体技と武器を見つけたことも。

尚更、特殊空間がものを言う立ち位置だろう。

君達には時間が無い。全力で掛かって来給え。

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