第014話 12通りの優しい嘘

第14話 嘘の記憶の話


クエスは正直、ときめいた。

ライアーと自分は、前世で恋仲だったと言う。

記憶アプリ:サークルメモリーがそう示した。

ライアー自身が吹聴したでっち上げなんかじゃない!

しかし、拡大解釈でもある。

サークルメモリーが提示した男性は

イニシャルが「L」である。これくらいの歩み寄り。

でも、偶然、近しい男子に「L」姓はライアーしか居なかった。


一方のライアーもまんざらでも無かった。

でも、運命だの奇跡だの思う程単純では無い。

女の子はロマンチックだねえ。位の受け留め方だ。

言うなれば俯瞰で眺めている感じさえ見受けられる。


嘘の逸話、嘘の記憶と否定してしまうと

楽しいアプリケーションが台無しだ。

誰かが提唱していた。

12星座はランク付けするのでは無く

12通りのいいことを言って〆ればいいんじゃない?


記憶アプリだって、二人は前世で憎み合っていた、

なんて啓示は絶対に示さない。

何か目線の変わる、有益な情報を添えて

又、次の情報提供の為に個人情報を聴取する。

アプリケーションなんて謳っているが

記憶の基盤を築いて行くのは

他ならぬスマートフォン所持者自身だ。


ライアー自身は、クエスの記憶に関与して居ないが

人間関係者であった為に、意識される立ち位置に招かれた。

エモーショナルサークルのリーダーは

他ならぬライアーで、クエスはバディに立候補したが

ライアーが指名したのは、男性のトゥルースだった。


エモーショナルサークル バディ選出

・ライアー ・トゥルース

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