(いみエモ話)「くるな!」昔埋めたタイムカプセルを開けたら、だれかが言いそう。

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 数十年ぶりの、再会。タイムカプセルの中に何を入れたか、覚えていますか?これがまた、事件を呼ぶことになる!

  (いみエモ話)

 意味がわかると、エモイ話。

 あなたは、この話の意味がわかりますか?

     ☆

 そう、そう。

 そうなんだよなー。

 「ものすごく参加したい人に、ものすごく参加したくない人の思いが集められる、異世界レベルのイベント」

 それが、「同窓会」だろう。

 この会が、皆の卒業した学校でおこなわれると、メンドーなことになる(?)。

 なぜって…。

 あの箱の結界が、解かれてしまうからだ。

 卒業生たちが集まって、ワイワイ。

 「あの箱を、開けよう」

 「そうだ」

 「そうだ」

 「そうしよう」

 あの箱というのが、これだよ。

 「タイムカプセル」

 結界につつまれた、やばい箱だ。

 「なつかしい箱だな!」

 「中に、何を入れたんだっけ?」

 「覚えて、いないねえ」

 「それを、今、たしかめるんじゃないか」

 「だよなあ」

 卒業生たちの気持ちは、「ワクワク」。

 担任教師のほうは、「ハラハラ」?

 生徒と先生とでは、気持ちがちがう。

 「何を、入れたんだっけ?」

 「楽しみ、だなあ」

 「ああ。楽しみだ」

 なのに、やっぱり、元クラス担任は、ハラハラ。

 こんなことが書かれた作文が出てきたりすれば、大混乱だろうからな。

 「僕、学校の先生を、尊敬しています。将来は、先生のようになりたいです!」

 そんな子どもの気持ちも、大人になれば、どうか?

 少なくとも、さ…。

 少なくとも、こんなニュースを知れば、学校の先生への気持ちも変わるだろう。

 「学校の先生が、万引き」

 「つかまりました」

 「学校の先生が、盗撮」

 「つかまりました」

 「学校の先生が、駅のエレベーター付近でこそこそとしていました」

 「女子高生のスカートの中を、スマホで撮影していたようです」

 ああ、いやだ。

 が…。

 もっと、いやなことがある。

 それは、元クラス担任が、目利きのコレクターになったり、鑑定士のような力をつけてしまった場合だろう。

 あ…。

 校内放送が、入ったぞ。

 「…えー、皆さん?タイムカプセルを、掘りおこす時間となりました。校庭に、お集まりください」

 力に自信のある人たちが、スコップなどを片手に、校庭のすみを掘りはじめる。

 そうして…。

 「出ました、出ました!」

 歓喜の声が、響く。

 「よいしょ」

 「よいしょ」

 ついに、注目の箱が、皆の前に姿を現したぞ!

 「さあ、開けますよ」

 「おお!」

 「キター!」

 すっかりおじいちゃんとなっていた元クラス担任を中心とする、数十年の封印が、解かれる!

 すると…。

 「くるな!きては、ならない!」

 元クラス担任が、近寄ろうとするまわりの人たち皆を、制した。

 「え、え?」

 「何で!」

 「どうして、中身を見せてくれないんですか?」

 「悪霊が入っているのか、じじ…先生?」

 「そうではない!」

 「じゃあ、何です?」

 「細菌とか病原体が、入っていたとか?」

 「ちがう!」

 「先生?もしかして、やばいガスが封じ込められていたとか?」

 「ちがう!」

「じゃあ…見せ」

 「見せません!」


 (この話の意味)

 なぜ、元クラス担任は、皆に、タイムカプセルの中身を見せたがらなかったのか?

 箱の中に入っていたのは、これ。

 「今は売っていない、何十年も前のおもちゃ」

 これを見て、鑑定士の力をつけていた元クラス担任は、驚いたはず。

 「あ…!」

 驚くのも、無理はない。

 それが、今やプレミア付きとなっていて、大金に変わるようなおもちゃだと知っていたからだ。

 元クラス担任は、それを独り占めにするために、生徒たちに「くるな!」と言ったんだね。

 学校の先生は、強いんだぜ!

エモいなあ。




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