(いみエモ話)キャベツなミステリーバイトストーリーで、いこう!有名人だぞ?

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 キャベツにいったら、キャベツが、やってくるぞ!これ、何のアルバイト?ある意味、ミステリー。謎が解けたら、イラッときた。

  (いみエモ話)

 意味がわかると、エモイ話。

 あなたは、この話の意味がわかりますか?

    ☆

 指定されていたのは、「キャベツ」という名前の、八百屋。

 大学 2年生となった、彼。

 「有名人になれそうな、バイトがある。やってみないか?」

 彼は、ずっと、有名人にあこがれてきた。

 だから今も、有名人っぽく、通行人の目を気にしながら、町中の大通りを歩いてきたわけで…。

 店先に白いのれんがかかる、指定されていたレトロな家屋に突入し、一息つく。

 先日、友だちとした会話が思い出される。

 「ネットで、簡単な良いバイトを見つけたぞ」

 「おお」

 「やってみないか?」

 「…」

 「金、ほしいだろう?」

 「…まあな」

 「闇バイトではないようだ」

 「そうか」

 「有名人になれるらしい」

 「お、有名人!」

 有名人にあこがれていた彼は、その話に、すぐに引き込まれる。

 「楽して、金がほしい!有名人に、なりたい!ぼっちは、いやだもんな!」

 そんな願いが、一気に、両方叶うというのだ。

 「待ち合わせ場所は、キャベツっていう名前の八百屋だ」

 「八百屋?」

 「そこで、 1時間か 2時間、女性の話し相手をしてくれれば良いらしい」

 「おお…」

 「どうだ?」

 「やる!そのバイト、もらった!」

 「ちぇっ…。シューカツの面接練習がなければ、俺が、やりたいくらいだ」

 「それでさ?」

 「わかっているよ。報酬、だろう?」

 「ああ」

 「 5,000円プラス、野菜らしい」

 「野菜?」

 「ああ」

 「八百屋、だからか?」

 「知らん」

 そうして、約束の今日。

 「いらっしゃいませえ!」

 若そうな女性店員がにこやかに笑うのを見ていたら、 1人の老婦人が来店してきた。

 「え、この人?」

 どうやら、高齢者の話し相手バイトだったらしい。

 「こんにちは」

 「ええと…」

 「はい、どうぞ」

 グッドタイミング!

  2人のまごついている様子を、見かねたのだろう。先ほどの女性店員が、木製のイスを 2脚、持ってきてくれた。

 さすがは、苦労している社会人。

 気が利く。

 「あなた、学生さんですか?」

 話しかけてきた老婦人も、うれしそうだ。

 「ええ」

 「私は、フランス帰りの魔界人です」

 ほう。

 高齢者は、ファンタジーだ。

 「…そうですか。たくさんの魔法力を、お持ちなんでしょうね」

 「学生さん?ほしい物を、何でもプレゼントしましょう」

 「じゃあ、ビジネスシューズがほしいですね!」

 「おや、おや」

 「シューカツに使う、新しいビジネスシューズが、ほしいんです!」

 「シュー、ですか…」

  2人のたわいのない話は、 2時間近くも続いた。

 帰宅し、驚きの彼。

 「何だ、これ!」

  1人暮らしをしているアパートにあるマイポストに、5,000円札が入れられていたのは、良い。

 ただ、その後、大量のキャベツまで送られてきた。

 「ははは…!報酬は、野菜だ!八百屋として、まちがいなかったろう?」

 友人に笑われ、彼は今、イラッときています。


  (この話の意味)

 老婦人は、「シューズ」を、「シュー」と聞きまちがえたんだろう。

 「シューズがほしい」でなく「シューがほしい」とね。

 「シュー」は、元々フランス語で、「キャベツ」という意味。

 老婦人は、話し相手になってくれた礼に、彼に、「シュー」つまりは「キャベツ」を送ったわけだ。

フランス帰りの魔界人らしい、愛。

 大量の「シュー」(キャベツ)を送られた彼は、夜中までキャベツを売りに歩く羽目になりましたとさ。

 「有名になりたい」

 その願いも、叶ったじゃないか。

 エモいなあ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

(いみエモ話)キャベツなミステリーバイトストーリーで、いこう!有名人だぞ? 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ