僕とアオちゃんのノスタルジー。(モンキーZ50Z)

猫野 尻尾

第1話:アオちゃんとの出会い。

以前からバイクを扱った話が書いてみたと思っていて、でも現代劇を

そのまま書いてもつまらないと思って、できれば小説なのでノスタルジーな

雰囲気を出したくて昭和の時代にタイムスリップしてみることにしました。


ホンダ・モンキー50は2017年8月末で生産を終了した。

あの愛くるしい遊び心満載の原付、排ガス規制強化で50年の歴史に幕を閉じた。



僕は「新来 淘汰しんらい とうた」某看板屋さんに勤める社会人。


僕の行きつけのバイク屋さんのショーウィンドウに飾ってあったモンキー。

ブルーの「モンキーZ50Z」もちろん新車じゃない・・・ 。


毎日の通勤の時、そのモンキーを横目に会社に出勤していた。

そのモンキーの横を通るたびに僕に向かって「連れて帰ってよ」って言ってる

ようだった。


僕の今の愛車「バイク」はイトコの友だちから一万円で買ったホンダのCL90。

いいバイクなんだけど友だちがキャブレターをいじりすぎたのか、信号で

止まるとアイドリングが効かず、エンストしてしまう癖がある、欠陥の持ち主。

それでも乗れるだけまし、乗ってることが嬉しかったので頑張って乗っていた。


ところがある日の昼休みに「亀屋のうどん」を食べにでかけていて、帰りに

信号で飛び出して来たタクシーのフロント部分にCLを持って行った。

つまり事故ったんだ。


まあ、信号無視したタクシーが悪かったから警察に届けようかと思ったんだけど、

面倒くさくて・・・その場をスルーしてしまった。

僕自身はどこにも怪我はなく、CLのフロントフォークが歪んだ。


歪んだCL90はフロントフォークを見てると情けなくて修理に出す気にも

ならなくて・・・結局、CLは廃品業者に引き取られていった。


さて明日から乗るバイクがなくなった僕は、行きつけのバイクショップの

ショーウィンドウに飾ってあるモンキーのことを思いだした。


思い立ったが吉日。

その日のうちに僕は行きつけのバイクショップにモンキーを譲ってもらいに

行った。

展示してあったモンキーは、思ったとおり店長が好きで手に入れたもの。


「人に譲るつもりはないから」って言われた。


買ってから数度乗ったくらいの美品・・・だから歴史もある。

そんなバイクおいそれとは手放さないよね。


てことで、あえなくモンキーと僕は縁がなかったってこと?。

でも、そうなると余計手に入れたくなるのがバイク好きのサガ。


僕は時間があるたびに行きつけの店に顔を出しては店長と交渉した。

結局、最終的に店長が折れて「そんなに好きなんだったら」と根負けして

僕にモンキーを譲ってくれることになった。


まあ店長がモンキーを僕に譲ったふたつめの理由としてはバイクも乗って

やらないと意味ないってこと。

床の間に飾っておいたって朽ちていくだけ・・・。

バイクはバイクをちゃんと愛してくれる人が乗るのがベストってことなんだよね。


執念・・・一度欲しいって思ったら諦めないのが僕・・・しつこい性格だから。


そしてめでたく「モンキーZ59Z」は五万円で僕の相棒になった。


モンキーの愛称はフレームの色が青いから「アオちゃん」


もちろん女の子・・・当然僕が男だから僕の彼女になるモンキーは女の子。

そこは男じゃつまんない。

アオちゃんを手に入れた僕は、早速イトコの「まことちゃん」に

見せびらかしに行った。


「トオタくん? モンキー?」


「買うた、買うた・・・CL事故って、ぽしゃったけんな〜」


「へ〜可愛いな〜・・・乗ってみてどんな?」


「30キロしか出したらいかんけんな・・・デカいいトラックが横を通って行くと

フラれてちょっと怖いけどな・・・けど楽しいで」


「ええな〜、わしもバイク欲しいわ・・・」


僕のちょっとした自慢だった。


まことちゃんの家は親が厳しくてバイクなんか危ないって許可が下りないみたいだ。

バイクが危険って、そりゃ車だって同じだろ?公共機関だって事故る時は事故る

だろ・・・バイクが危ないってのはそりゃ偏見だよ。


たいたいバイクが事故るんじゃなくて、乗ってるやつの不注意で事故って起きる

んだから、ちゃんと交通ルールを守らないやつが悪いんだよ。

って僕も事故ったけどな、あはは。


それから僕とモンキー「アオちゃんとの」とのハピネスな毎日がはじまった。


つづく。


近況ノートにモンキーZ50Zの写真貼ってます。

https://kakuyomu.jp/users/amanotenshi/news/16817330669657474863







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る