六花荘殺人事件ーTheDetectiveKP

KPenguin5 (筆吟🐧)

第1話 プロローグ

 

「ピー、ピー、ピー、」

白を基調とした部屋の中で、機械の赤や青の光が異質に思える。

まるで時が止まったかのような静かな部屋で、無機質な機械の音がこの白い病室の中で唯一時間が動いているということを実感させる。

ベッドに横たわっているのは、機械に繋がれ変わり果てた姿になった女性。全身に管を通されて自立呼吸はしているものの意識はなく、医師からもいつ目覚めるかはわからないといわれた。


「姉さん…。俺、あいつらを許せないよ。待ってて。報いは必ず受けさせてやるから。」

傍に立つ男は、こぶしを握り締めている。

涙は枯れた。すべてあいつらのせいだ。

応えるはずのないその女性に向かって、男は頷き部屋を出て行った。

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