第13話 うまい刺身
その店の刺身がうまいかどうかは食べなくても見れば分かる。うまい刺身はまず 美しい。そして 油がよくのって 輝いている。マグロなどの赤みは淡いピンク色で今すぐ食べたくなるほど うまそうだ。白身も半ば身が透き通って、うまそうに輝いている。とにかく上手い刺身というものはひとめ見ればわかるものなのだ。
こんな風に 居酒屋によってお酒の果てに 刺身を頼むようになったのは瀬戸街道沿いにあったあの店に立ち寄るようになったからだ。仕事終わりに 友人とよく行った。名前も忘れてしまった、店員も男ばかりで全く色気のない、何でもない店だったけれど 魚だけはうまかった。ネタケースの中にはいつもうまそうな 刺身が並べられていた。あの店で酒を覚え、魚を覚え仕事の終わりに 仲間と飲むお酒のうまさを知った。大将が僕たちに何気なく言ってくれたことがあった。あんたたちの酒はいいね。あんたらは人を悪く言うような酒は飲まないね。いい酒だ。こういう酒にしてほしいよね。そう言いながら僕たちに酒をいっぱい 奢ってくれた。またあの店でうまい酒を飲みたいものだ。
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