第2話 廃墟マニア

「…!?」


突然後ろから声がして、反射的に振り返ってしまった。


そこには僕と同じ歳くらいの少年がいた。


学ランをだらしなく着ていて、顔には絆創膏を数箇所貼っている、見るからにやんちゃそうな少年だった。


何故こんな所に?何で話しかけてきた?そもそもこの人は誰?…


僕は情報を処理仕切れなくて、その場で硬直していた。


混乱している中、その少年は喋った。


「もしかして、お前も……」


僕は静かに少年の次の言葉を待った



「お前も……廃墟マニアだったのか!?」


「はぁ…?」


「俺最近廃墟にハマってて、色んなとこ行ってんだ!廃墟特有の不気味さがサイコーだし、たまに廃墟に住み着いてるホームレスとか不良とかとケンカしたりすんのもたまんねぇよな!?」


僕はあっさり拍子抜けしてしまった。こんな奴の前で飛び降りる気なんて起きない。


今日はやめよう。別の日にしよう。僕は彼を無視して帰ろうとした。


「お、おい!行っちゃうのかよ!せっかく同胞を見つけたってのに…なぁ、せめて名前だけでも教えろよ!」


「………」


「俺は湯島 翔馬 (ユシマ カズマ)!お前は?」


僕は人と馴れ合いたくない。誰も信用出来ない。僕は彼を無視して階段を降りた。


「なあ!土曜のこの時間にここ集合な!俺、待ってるから!!絶対来いよ!」


屋上の階段に居るであろう彼の声はまだ聞こえてくる。


誰が行くか!と、心の中でツッコミを入れつつ、僕はその場を去った。


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