ＫＡＣ20245 笑える？笑えない？チケット男、「はなさないで」のお笑い好き女子と！

第1話 エロい？エモい？「計画的にいこうよ、私！男も笑いも、はなさないで！」自身に言い聞かせる女子の本当の気持ちって。

　エロい。

エモい。

「このチャンス、はなさないで！」

　あの子が言ったように、思えたろう。

君は、ついに、やってしまったようだね。

　愛の力が、こもりすぎ。

　君は、なかなかとれないとうわさの、大評判の人気お笑いライブのチケットをゲット。

　しかも、 2枚！

　そこで君は、気になっている女の子へ声をかける。

　「うん、いく！」

　お付きあいのはじまりに、ドキドキさ。

　その子は、お笑い好き女子。

　「最高のデートに、するぞ！」

絶対に、チケットを 2枚とりたかった。

　そして…。

　待ちに待った、3週間後のライブ当日！

　観客いっぱい、夢いっぱい！

　…が、ちっとも笑えない。

　彼女は、今日、この場にはいないんだから…。

　はい？

　「彼女は死んでしまい、今日、この場にこられなくなっただけだろう？」

　…ちがうな。

　「フラれて、彼女と別れてしまっただけだろう？」

　…それも、ちがう。

　「これまでの話は、すべて、妄想？」

　ちがうんだ！

　しかし…。

困ったねえ。

　彼女が座るはずだった君のとなりの席に、知らないおじさんが座っているんだから。

「あ！あの子、言っていたよな…」

汗、汗。

約束のお笑いライブの日が近付き、彼女は君に、こう打ち明けてきたんだっけ。

　「…ごめんなさい。私、ライブを見にいけなくなっちゃったの。入院しなければ、ならなくなって…。あなたを、はなしたくないのに。大好きなイベントも、ね。ああ、はなさないで！」

　が…！

　本当は、入院などしていない。

　「ごめんなさい！…でも。いけなくなっちゃったけれど、私のぶんのチケットはほしいな。はなしたく思い出のために」

　とか、上手いこと言ってさ。

　すぐに、彼からゲットしたチケットを、プレミア価格で転売。

　彼女が座るはずの席に座っているおじさんは、お笑い転売ヤーの彼女から、チケットを買った人だろうよ。

　家で 1人笑いが止まらない、彼女。

　「…ひひひ。はなさないで！私の客は、はなさない！ふふふ。あはは！高く、売れました！」

　そんな子とは、早く別れなさいよ。