第12話 従妹は俺以外には氷のように冷たいようだ7

保健室には、保険医もいなかった。

少し出かけているようだ。


「あっちゃん、大丈夫?」

「ああ、ちょっと口内切れただけだから」

「ごめんなさい、私の所為で」

「茜の所為じゃないうよ…といいたいけど茜も悪いね」

「…だって、怖いんだもん」


そう、茜は急に男子に話しかけられて怖くて無言になってしまう。

女子なら少しだけましに受け応えが出来る。

まあ、相手からすると無視された冷たいと感じてしまうようだ。

俺の前でのこの茜をもっと引き出せたらいいんだけどな。

来年は、1人になってしまうのだから。

どうしたらいいんだろうな。


うるうると涙を浮かべている茜。

俺は、彼女の頭を撫でる。

茜が少し落ち着いた所で保健室のドアが開く。


「あら?前嶋君どうしたの?」

「先生、ちょっと殴られまして」

「あらあら、少し冷やしましょうか。

あら?その子は?」

「幼馴染みで従妹ですね、一応妹ってことにしてます」

「うーん、複雑な家庭ね。

じゃあ、初めまして保険医の小川よ。よろしくね」

「…よろしく…お願いします」


先生は、氷嚢を作って俺の頬に当てる。

なるほどと言う感じの表情を浮かべる先生。


「だいぶ内気な子の様ね」

「あはは、先生には分かりますか」

「まあね、こういう子は初めてじゃないから」

「なら、もしもの時は」

「いいわよ、えっと…」

「ああ、茜です。前嶋 茜です」

「ふふ、茜ちゃんよろしくね」

「…はい」


小川先生がいれば少しだけ茜の支えになればいいな。

頬が冷たいな。

少し腫れていたみたいだ。

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