あくまで悪魔とときどきどきどき

@Suzakusuyama

第一話

「痛い……痛い痛い痛い痛い…………」

薄暗い街灯が不気味に狭い路地を照らす。

真っ赤に染まった世界が真っ白な頭に流れ込んでくる。

できればすべての出来事が真っ赤なウソであってほしかった。

……いや、嘘でも起こってほしくないことであった。

僕は今、命を狙われている。

どこの馬の骨かも知らない誰かに。

多分、というか、推測だが、多分あっている。

「はぁ……はぁ……いってぇ……疲れた……」

なんで体が痛いのかわからない。どこにも損傷はない。はずなのに。内側からじんじん痛みが走って来る。

そして何故か僕はただひたすらに赤い路地を走っている。意味なんてわからない。ただただ走っていた。

「そろそろ歩みを止めてみてはどうじゃ?人間よ」

舌っ足らずな声が周辺に響き渡る。

この声の正体がきっと僕を狙っているやつだ。

しかし、容姿も目的もわからない。

なんで対象が僕なのかも、わからない。

「ーー舌の契約。パセーマタケアリファ

突然体が動かなくなる。

足が動かなくなった僕はそこに倒れ込んでしまった。

そこで、僕の気力を繋いでいた何かが切れた。

「痛い……もう……いいや…………」

と力なく萎れた。

思えばクソみたいな人生だった。

両親には捨てられて、何に対しても努力をせず、中途半端なまま中途半端に終って。

それでいて少しだけ結果が手に入るから……それで妥協して。

あーあ。もっと頑張れば……って、

「あー……」

まだ一つやり残したことがあった。

たしか僕には好きな子がいたんだ。

本当に小さい頃、好きになった女の子。

僕の前から消えてしまった女の子。

未だに僕が好きな女の子。

あの子に好きって伝えたかったなぁ。

「もういいか……」

僕が静かに目をつぶる。

すると、

「何も良くない!」

とすぐ近くからさっきの声が聞こえた。

「お主には今からいろんなことを手伝ってもらうからの?うむ。まずは手始めに、これを飲んでもらおうか」

僕はゆっくり目を開けると、そいつの容姿が見えた。

「え?ガキ……?」

僕を狙っていたの思われるのは小学校低学年ぐらいの女の子だった。

ブカブカの白いパーカーに青いショートパンツ。

何故かニヤニヤ笑っていて、黒い肩くらいの髪に深い青の瞳は赤みがかった空間ときれいに調和していた。

「む、ガキ……まぁいいか」

女の子が僕の口になにか錠剤を入れ込む。

苦い錠剤だった。

そして僕の口に錠剤を入れた女の子は突然自分の手首を切った。

「うわっ!?何してんの!?」

苦い錠剤が口の中で少し溶けていて不快だというのに、それを上回る困惑という感情が僕を襲う。

「静かに」

女の子は言いながら僕の口の前に手首をやった。

僕は口を閉じようとするが、女の子がもうかたっぽの手で口を無理やりこじ開ける。

それはそれはすごい力で、僕は抵抗ができなかった。

僕は無理やり血を飲まされ終わった瞬間、

「おい、なにしてんだ!!」

と女の子に叫んだ。

「死んだらどうするんだ!!簡単に自分を傷つけるな!!」

僕は両親が心中したのを眼の前で見ている。

なのに、何故この子はこんなにも簡単に手首を切れるのだ?

何故この子はこんなにも簡単に死のうとできるのだ?

血を飲まされた衝撃よりも、そのことに対する憤りが僕の心を支配する。

そんな僕の様子をみた女の子はため息を付いて、

「もう体に痛みはないじゃろう?」

という。

そこで僕は体中から痛みが引き、視界の赤みが消えているのに気がついた。

「ホントだ……え、君が僕の命を狙ってたわけじゃないの?」

僕の問いかけに、

「そんなわけ無いに決まってるじゃろう。儂はお主が呪いか何かにかかってるのを見て助けてやろうと思ったのじゃ。それなのにお主逃げ回りおって……」

女の子がため息を付いて髪をかきあげる。

「え?呪い……?まぁ良いや。とりあえずありがとう。君は誰?」

僕が聞くと、

「儂か?儂の名前はファルシュ。そして……」

瞬間、女の子……ファルシュの後ろに空から何かが落ちてきた。

しかし、土煙一つたたず、音もしない。

落ちてきた”なにか”は人の形をしていた。

黒い襟の長い服に、黒いマント。顔の上の方には銀色の仮面をつけていて、シルクハットを被っていた。

「何だこいつ、変な見た目……かっこいいと思ってそう」

未だに地面に倒れ込んだままの僕が弱めの毒を吐く。

ふってきた人の形をした男は何も答えず、黙ったまま動かない。

「お主、先程儂に”お前は誰だ”と聞いたな?」

ファルシュはパーカーのポケットに手を突っ込み、何かを掴む。

「まず1つ。儂は悪魔じゃ」

瞬間、僕の体に大きな圧がかかり、視界が一気に地面の上から空中に替わっていた。

どうやらファルシュに担がれている形らしい。

「そして2つ、儂はお主と深い関わりがある」

僕が先程自分たちがいたところを見ると、そこには地面に拳を振りかざした先程の男がいた。

「3つ。儂とお前は今から運命共同体じゃ」「目の契約。ヴェローナ

ファルシュは拳を前に突き出すと、ぎゅっと拳を握った。

その瞬間、2つのことが起こった。

まず1つ、ファルシュの手の中で何かが爆散した。

そしてもう一つ。先程の男が十字架に磔にされていた。

「お前に光などいらぬ」

ファルシュが指をぱちんとならした。

男は

「ゔああああああ!!!!」

と叫ぶと体中から針を出して、絶命した。

「うわ、グロ……」

思わず口から感想がこぼれるが、不自然ながらグロ系ホラー映画とかよりとかは怖くもないし不快じゃなかった。

「よし、終わりじゃな」

ファルシュは空中から地面に降り、僕を地面に立たせる。

「さて、それじゃ……」

ため息を付いて、

「儂との約束を覚えておるか?」

「は?」

大真面目に僕の目を覗き込んだファルシュに大真面目に返答した。

「なにが”は?”じゃ。ほら、昔儂が言ったじゃろ?確か……”絶対また話せるよ。私は君のことが大好きな友達だからね”じゃったか?……むぅ、今思うと恥ずかしいな……」

懐かしそうに、少し恥ずかしそうに顔を赤らめるファルシュ。

「待て待て待て待て!僕にはそんな記憶ないぞ!?」

慌てて僕が否定すると、

「うそん……」

ファルシュはぽかんとした顔つきになり、

「儂の唯一の友達がこんなになってしまったなんて……がっかりじゃな」

「ちょっと待て、僕が君の唯一の友達?正気か?」

思わず突っ込んでしまった。女の子とはほとんど縁のない人生だったし、こんな子殆ど知らな……

いや待てよ、さっきのセリフ、よくよく考えたら何処かで聞いたことがある気がする。

もしかして……

「え、もしかして朱昼あかるちゃん……?」

「ん、そうじゃが……」

「え、うそん……」

少しフリーズした。初恋の女の子が目の前にいる。

いや、待てよ僕。まだファルシュが朱昼と決まったわけじゃない。

だって朱昼ちゃんは黒髪の長髪だし、瞳も黒かった。

服装はあんまり覚えていないけど、確かかわいい感じの服をたくさん着ていた気がする。

(やっぱり別人なんじゃじゃないか?一旦ファルシュの言動を思い出してみよう……)

そう思ったとき、僕の頭に複数のシーンが思い返された。

手首を切って血を飲ます異常行動。空中に立つという超人的能力。

そして、彼女の言葉。

(ーー儂は悪魔じゃ。)

「悪魔ぁ!?!?」

「反応が遅い!!」

ファルシュが頬を膨らませ、顔を直ぐ目の前まで近づいてきた。

「お主が無反応すぎて儂ちょっと戸惑ってたんだぞ!もっと直ぐにいい反応をするのじゃ!」

ファルシュが怒ったように言う。

「お前、悪魔っ……いやでも確かに空中歩いてたし……あくっ……あー……結構変わったなぁ、お前」

「行き着く先が昔話とは随分とまぁ反応が薄いのぅ……」

ファルシュが少し残念そうな顔をする。

まぁ起きたことは起きたことだ。信じるほかはないだろう。

それにしても……

「いやぁ、大きくなったなぁ」

僕が少し嬉しいような寂しいような感情に襲われる。

「そうじゃのぉ……って、そうじゃない!悪魔についてもっと言及せい!!」

ファルシュがまた頬をふくらませる。

その様子は昔とまるで変わっていなかった。

「可愛いな……」

思わず口から言葉が漏れる。

「は!?かわっ……もう!!話さなくても良いのか!?」

ファルシュが顔を赤らめる。

「うーん……じゃあ聞くわ」

僕は話が進まなくなると感じ、話を聞くことにした。

「何じゃそのイヤイヤな感じは……まぁ良い。儂が子供の頃から16となった今までの全貌をお主に話してやる!!」

「待って。僕ら名前知ってるし名前で呼び合わない?昔みたいに」

僕は話の腰を釘バットで折り、提案した。

まだ朱昼だと確証があるわけじゃない。一旦最終確認だ。

「え、名前呼び!?名前って、恥ずかし……ぐぬぬ……じゃあ、言うぞ」

ファルシュが息を吸い込む。

「す、す……うわあああああ!!!儂がここに戻ってきた理由はあああああああ!!!」

「ヘイYOU照れんなよ!!!」

僕が茶化すと、

「パン」

頬を叩かれた。

「パン」

反対側も叩かれた。

「ほいっ」

デコピンもされた。

そしてファルシュは咳払いをすると、

「こほん……儂がここに戻ってきた理由は、日本全土の何処かに隠されたイエス・キリストの腕を探しにきたのじゃ。イエス・キリストの腕はそれはそれは大変な代物でな、悪魔の力が強くなるだけでなく、神の力の一部まで……」

と話しだした。

「はいストップ」

突拍子のない話に当然ストップを掛ける。

「悪魔ってなんですか」

僕の質問に、

「あっ……そっか」

思い出したようにファルシュが語りだす。

「悪魔っていうのは名前通りやべーやつらじゃ。それはそれはやばいぞ。人間界では人間と契約することで魔力を人間から吸収できるぞ。ちなみにさっき襲ってきたのは神じゃ。コイツラ神と悪魔は敵対してて、やばいぞ。……はい。終わりじゃ」

「雑だなおい……」

あまりのがさつさに補足説明を入れたくなるが、何も知ってることがないので何も言えないのが歯がゆい。

「んーっと整理すると……僕にそのキリストの腕を見つけるのを手伝ってほしいってこと?」

僕が聞くと、

「そのとおりじゃな。ちなみにお主に拒否権はないぞ」

よし、考えても無駄ってことだな。わかったぞ。

「…………行くぜっ!!」

僕が足を踏み出したとき、視界に影が差した。

「え?」

「危ないっ!!」

ファルシュに腹を思いっきり蹴っ飛ばされた。

その衝撃で僕は後ろの壁の塀にぶつかり、塀が瓦解する。背中に激痛が走り、腹のところにも気持ち悪さがある。

頭がグラグラまわり、体の内側から体を壊されている気分だった。

僕の目の前の地面には大きな穴が空いていて、砂埃で視界が悪くなっていた。

「神が結界も貼らずに……物騒な神じゃな」

ファルシュは殴りかかってきた神(?)の上に立っている。

殴りかかってきた神は、先程針だるまになっていた男だった。

……いや、少し語弊がある言い方だ。針だるまになっている男である。

さっきファルシュの攻撃?で死んだはず……いや、神を人間の尺度で語れるかはわからないが、人間だったら確実に死んでいたはずだった男が、元気に動いて僕に殴りかかったのだ。

「いてぇ……」

思わず声が漏れる。

死ぬかもしれない位痛い。だけど、耐えなければ……ファルシュが病院に連れてってくれれば……ワンちゃん……

「指の契約・コーキア

ファルシュが唱えると、男は上から押しつぶされるようにして潰れた。

辺り一帯に血が飛び散る。

しかし……

「再生してる……じゃと……?」

今の僕にはよく見えないが、どうやらさっきの男の体が再生しているらしい。

「もしかして……」

ファルシュは急いで僕のところに来ると、さっきの薬を僕に飲ませて、手首を切った。

僕がファルシュの血を飲むと、傷がみるみる回復していく。

どうやら傷でも治す効果もある万能薬らしい。

そして

「お主にかかっているのはなにか呪いのようなものかと思っていたが、少し違うらしい。最近なにか変なことというか、本当に些細なことでもいいから違和感があることはなかったか?」

ファルシュの問いかけに僕は頭をフル回転させる。そして

「そういえば、2日前に自販機の取るとこにあるトマトジュースを飲んだときから具合が悪いような……それに少し色が濃かったような……気もする」

「それじゃな。拾い飲み食いはするんじゃないぞ……まったく」

ファルシュは悔しそうな呆れたような顔をする。そして男の死体を見て、

「やばいな……」

とつぶやく。

そして背中から黒いカラスのような翼を生やすと、

「一旦逃げるぞ!!」

といって高速で飛び出した。

僕はそこでやっと意識がはっきりしてきた。

そして、何かよくわからないが少しやばいことに気がついた。




ファルシュが飛んできた先、木が生い茂るどこかの山。

そこで僕たちは小休憩をしていた。

「さて、まぁまぁ一旦落ち着け。落ち着くのじゃ。落ち着け〜〜〜」

「いや、僕は落ち着いてるよ?僕は落ち着いてるけど……」

ファルシュはさっきからぐるぐる回ったり、近くの木を睨みつけたり、とりあえず挙動不審である。

「お前が落ちつk「落ち着いとるわい!!」

ファルシュが大きい声で叫んだ。そしてふーーーっと長く息を吐くと、

「お主はおそらくゾンビになりかけている」

「は?ゾンビィ?」

突拍子のない話だが、今更突拍子など探してもどこにもないのでとりあえずは説明を聞くことにした。

「さっきのはおそらく腐敗の神か、もしくは再生の神……お主はそいつの体液を接種したことで体の内側からどんどん存在が侵食されていってる。儂の見立てではおそらく持って一週間というところだが……とりあえず、視界が赤く染まったら限界が近いから、そうなる前に……」

と独り言のようにファルシュが木に向かってブツブツ言っている。

ん?そういえば視界が赤く染まるって……

「僕、ファルシュと出会ったとき視界真っ赤だったよ」

僕がそういった瞬間、ファルシュがゆっくりこっちを向いた。

その顔の目尻は真っ赤で、大粒の涙が目のフチに溜まっていた。

「ごめん……ごめんねぇ……!!儂のせいで……儂のせいでお主まで……!!!ごめんねぇぇぇ……!」

消え入りそうなほどか細い声で泣き出す。

僕は唐突な泣き出しに戸惑い、

「いや、まぁ大丈夫だよ!なんとなるさ!ほら、僕らにはいざってときは薬だって……」

「くずりもうな゙い゙よ゙おおおおおおお!!!」

今度は大きい声でファルシュが泣き出した。

「こうなったらもう儂の血だけで……」

ファルシュが自暴自棄になりかけている。どうにか僕が話を変えなければ……

「そういえば、なにか僕のゾンビ化を止める策とかってないのか?ほら、なんかあいつを殺せば行ける〜みたいな」

それを聞くと、ファルシュは泣き止み、

「あるにはあるが……」

と少し言い淀んだ。

「あるが……?」

僕が催促すると、

「実は……その、腐食の神を殺すかキリストの腕がないと無理なんじゃ……」

キリストの腕。

探す範囲:日本全土。

「終わったな……さて、余生はどうするか……」

僕は諦めの重要性を知っている。

さて、残りの人生は楽しく過ごしたいものだが、どこに行こうか?海か、それとも山か、はたまた……

「ちょっとまてい!」

「ん?何だ、僕は今余生をどう過ごすか考えるかで必死なんだが……」

んーそうだな、バカンスもいいけど余生は朱昼と過ごしたいな。

そういえば、告白してなかったな。

するか?せっかくだし。でもあれかな?適当にやられても朱昼に失礼か?うーーーん……

「ちょ、ちょっとまっとれ!!!儂、探してくるから!!!」

「え、あ、う〜ん……おっけー」

最後はファルシュ……というか朱昼と一緒にいたかったが、まぁいいか。

「さて、何するか……」

僕はその場に座り込んだ。

座り込んで、ぼーっとあたりを見渡す。

そして、空を見上げた。

きれいな海よりも青い空。

快晴だった。

少し眠ろう。

少しだけ、少しだけ。

今は少しだけ、疲れた。




あははははという笑い声や、友達同士で名前を呼び合う声が聞こえる。

とある昼下がり。

僕はそんな喧騒をよそに一人でブランコを漕いでいた。

ブランコを漕ぎたかったわけじゃない。ただ、日の下でボーっとして居たかった。

欲を言うならば静かなところが良かったが、それは仕方がない。幼稚園という場所は人と交流する場所なのだ。騒げない僕が悪いから、少し我慢である。

「ねぇ、君はみんなと遊ばないの?」

そんなとき、すぐとなりから僕に喋りかける声が聞こえた。

僕は、

「僕はあんまり動くのが好きじゃないから……」

と答える。

「ふぅん、そうなんだ」

僕に喋りかけてきた女の子は相槌だけうった。

しばらくの間沈黙が流れる。

「あのさ」

女の子がまた口を開いた。

「何?」

「私達、友達になろうよ」

女の子が提案した。

「僕はそんなに面白くないよ?いつもみたいに他の子と遊んだほうが楽しいんじゃない?」

僕がやんわりと断ろうとすると、

「ううん、私は君が良いの」

そう言って僕の顔をじっと見つめこむ。

黒くて大きな瞳、大人ぶった黒のフリルドレス。

黒くて長い髪はきれいで、風に揺れていた。

綺麗だな、そう素直に思った。

僕が何も答えずにいると、

「じゃあ、今日からよろしくね。友達くん」

それが女の子……緋月朱昼との出会いだった。

その日から朱昼と僕は毎日のようにブランコに座って話をしていた。

沈黙の時間も多かったけど、どこか気まずくもなかったし、その沈黙も心地よい気もした。

そんなことが続いて半年ほど経った頃。

「ねぇ、私の話聞いてくれる?」

いつもと比べてテンションが低い朱昼が僕に話しかけてきた。

僕はボーッと前を見ながら黙って頷くと、

「実はね、私引っ越すことになったんだ」

「え?」

その時、その日初めて朱昼の顔を見た。

今にも泣き出しそうな顔で、目尻を赤く染めていた。

「朱昼ちゃん……」

言葉が出なかった。

たった半年、されど半年の間、ほぼずっと一緒に居たのだ。

「ごめんね……」

朱昼が小さくそうつぶやくのが辛くて、僕の胸もいっぱいになってきた。

何故か僕の胸が苦しくなり、鼻の奥が痛くなってくる。

「ありがとう、泣いてくれるなんて思わなかったよ……」

気づけば僕は泣いていた。

「でも、泣かないで。大丈夫だから」

朱昼ちゃんが僕の目を拭う。

「いつもみたいに、お話しよ?ね?」

「うん」

僕たちはたくさん話をした。

たくさんたくさん、話をした。

しかし、分かれの時間はやってくる。

「……もう時間だね」

「うん」

「……今日は、楽しかったね」

「うん」「……ねぇ、僕たち、またこうやって一緒に話せるかな?」

「……絶対また話せるよ。私は君のことが大好きな友達だからね」

朱昼が優しく僕のことを抱きしめる。

暖かくて、鼓動が早まる。

まだ最後じゃない。それだけで気持ちが楽になった。

「……次は、面白い話がいっぱいできるようになって待ってるよ」

「うん。楽しみにしてる」

そして朱昼は親に連れられて帰っていった。

僕はそんな朱昼の背中を見つめていた。

悲しくも、辛くもなかった。

ただ、次に会うのが楽しみだった。




「朱昼…………」

僕がゆっくり目を開ける。

スマホを見ると時刻は20時半。

短い夢を見ていた。

朱昼と僕の過去の夢だ。

「何やってんだろうな、僕……」

せっかく朱昼と出会えたのに、これじゃただのダサ男じゃないか。

「朱昼にだけ任せてられないよな……」

僕が重い腰を上げたとき、

「うがあああああああ!!!」

という咆哮が聞こえた。

「誰だ……?」

小さい声でつぶやき、木のうらに隠れる。

そしてゆっくり声のした方向を覗き込む。

そこには、先程の男が見えた。

恐ろしい光景に思わず息を呑む。

逃げ出さなければならない。だが、下手に動いて音を立ててバレてしまっては笑いものだ。

「どうするか……」

僕は無理はせず、それでいて僕ができる限界レベルのことをすることに決めた。




「キリストの腕〜〜〜どこじゃ〜〜」

その時、ファルシュは先程神を倒した現場に居た。

当然そこに神の姿はなく、あるのは地面にぽっかり空いた穴と僅かな肉塊と血だけだった。

「うーむ……再生しきってないとこを見るにおそらく腐食の神……そして腐食の神の血を飲んでゾンビにさせられた人間っぽいの」

ファルシュの勘では神として道理を外れた行動をしている腐食の神がキリストの腕の在処を知っていると考えている。

だがファルシュには当然腐食の神の場所がわからない。

なので腐食の神の分体を探していたのだが……そう簡単には行かないらしい。

「悩ましいな……」

ファルシュは顎に手を当てて穴周辺をぐるぐるまわる。

「あっ!そうだ!」

ファルシュは懐から四角い何かを取り出す。

それは文明の機器……スマホ。

それもメンヘラ女ぐらいデコられて持ち心地が悪くなり、ショッキングピンクの極みと言っていいほど狂わされてしまったスマホだ。

ファルシュはYというネットで色んな人がいろんな発見などをつぶやいているSNSアプリを開く。

「えーっと検索内容は……#不審者発見でいいか!」

ファルシュは半分ふざけながら検索をかける。すると……

「……まじか」

#不審者発見には様々な投稿がされていたが、全て似通った文章だった。

文章内容は”最近増えている変な格好をした不審者”ということ。

ファルシュは”最近増えている”の部分を凝視する。

「まずいな……日本の神は何をしておるのじゃ」

そう言うが、ファルシュは気づいている。

腐食の神がキリストの腕を手に入れたことで神の力の均衡が崩れたということに。

今、日本では腐食の神が圧倒的な力を持っている。

キリストの腕というミイラ……腐食がされていない死体と、腐食の神という腐食のされた死体。

お互いがお互いのない部分を補っている……例えるならテトリスのようにぴったりピースが当てはまり、本来よりも大きな力を得ているのだろう。

「とりあえず一番最近の発見で一番近いところに……あっ」

一番最新の投稿。その発見場所は……

「儂がさっき居た山じゃね?」

「あやつが危うい……!」

ファルシュは背中から翼を生やし、先程まで居た山の方へ一直線に飛んでいった。

ファルシュが山についたとき、そこには結界が張られていた。

山全体を覆う大きな透明の結界。

結界というのは、神がその土地を傷つけないために貼るものである。

つまり、中ではなにか戦闘が起こっている可能性が高い。

ファルシュは躊躇なくその結界に侵入する。

すると、先程の腐食の神の分体と同じ格好をした元人間たちが三人襲ってきた。

「骨の契約……スパシー

ファルシュがポケットに手を突っ込み、骨を取り出す。

そしてその骨を真ん中でへし折った。

すると、折った骨が一瞬で剣の形をなした。

ファルシュがその骨の剣を振るう。

「骨抜きじゃよ」

周囲の三人は一気に四肢を切り落とされた。

そしてファルシュは一気に山を駆け上がる。

道中の腐食の神の分体を片っ端から切り裂き、先程居た場所までなるべく早く、速く着くように。

「大丈夫かぁぁぁ!!」

「ファルシュ!?」

わずか3分で到着。

ファルシュの勘で進んだ結果が功を奏した。

しかし……

「ファルシュ!後ろ!!」

音もなく巨大な拳が振り下ろされる。

ファルシュは間一髪、それを避けて剣で殴りかかってきたそいつの心臓を串刺しにし、切り上げた。

「お主は逃げよ!!」

ファルシュが声を上げる。

「わかった!けど……」「無理だったら呼べ!」

「儂より弱いやつを呼べるかぁ!」

ファルシュが大声で抗議する。

しかし、その顔はどこか嬉しげだった。

「さて、と……」

「あそこかの?本体がいる場所は」

ファルシュが見つめる先には木々のない開けた場所があった。

その真ん中には一つだけ平たい石があり、その上に誰かが座っている。

ファルシュはゆっくりと歩き、その開けた場所の中に入る。

「こんばんは。月明かりが綺麗ですね」

「そうじゃな。まるで儂のようじゃな」

ファルシュは足に力を込め、地を蹴る。

そして座っている女に近付くと、首を切り落とした。

「まぁまぁ。そう急かないでください」

落ちた首が喋る。

しかし、首は再生しない。

「私はえにしの神、大槌会之命おおつちのえのみこと。お願いです。彼を……腐食の神を殺してください」

地面に落ちた顔から涙がこぼれる。

「……話を聞いてやろう」

昔……彼はとても優しい男だったのです。

”腐食”という恐ろしい肩書とはまるで真反対……清廉潔白で美しい神様でした。

そしてそんな”腐食”を司る彼に私は心が惹かれていったのです。

そうです。心の底から愛しておりました。

そして私は”縁”の力を使い彼とお近づきになり、結婚までに至りました。

それで万々歳のまま幸せな結婚生活を送る……はずでした。

結婚式をした矢先、彼はキリストの右腕に出会い、その魔力に取り憑かれてしまった。

いや、その力に溺れてしまったのです。

彼のせいで私を始めとする沢山の方々が犠牲となり、沢山の縁が別れを告げました。

もう私はつかれました。

あなたの手で……いや、私の手で彼の命を終わらせます。

どうか、私が彼を殺す隙を作ってください。




緋月朱昼ひつきあかる

過去の儂の名前じゃ。

別に特に変わったとこはない。読み方がちょっと特殊なだけで普通な名前じゃ。

私は小さい頃、幼稚園に通っていた。

うむ。ここはみんなと一緒じゃ。

でも一つ違うところがある。

それは一つ。儂には……好きな人がおったんじゃ。

其奴の名前は海野彗うみのすい

まぁ、此奴もちょっぴり名前は変わっておるな。

儂が此奴のことが気になったのはいつからじゃったか……もう覚えていない。

ただ、最初はブランコに一人座ってる此奴を見て少し気になっただけじゃった。

だから儂は此奴と仲良くなろうと決めた。

儂はその日のうちに此奴にアタックをかけ、無事友だちになった。

それからは毎日のようにお話をして、どんどん仲良くなっていった。

ちなみにこのとき必死に聞き出した情報でおばあちゃんと仲が良いと聞いたから儂はこの喋り方なのじゃ。

ごほん。少し話が脱線してしまったな。

儂が此奴と親友と言っても遜色なくなったときのことじゃった。

儂の引っ越しが緊急で決まった。

引っ越し先は海外。

もう日本には帰ってこないらしい。

儂は必死に抵抗した。

しかし、子供の儂の意見なんて親はまともに聞かない。

結局儂の抵抗は虚しく引っ越しをする羽目になってしまったのじゃ。

その話をしたとき、彼奴は泣いてくれたな。正直嬉しかったぞ。

それで最後のお別れのとき、彼奴に聞かれたのじゃ。

ねぇ、僕たち、またこうやって一緒に話せるかな?

とな。

儂は海外に行って日本に帰らないことを知っていた。それなのに

絶対また話せるよ。私は君のことが大好きな友達だからね。

と答えてしまった。

もう出会えないことを知っているのに。

これは儂が彼奴についた最初で最後の嘘じゃな。

それで儂は海外……イギリスに永住することになったのじゃ。

まぁそこで儂は悪魔になったのじゃが、それはどうでもいい話じゃな。

え?仲良くなりたいだけで好きになった理由がわかんない?

……好きになった理由なぞ、儂もわからんわ。

でも、好きなんじゃ。彼奴が。

名前も呼ぶのも恥ずかしいぐらい。視界に入れるだけで顔がにやけてしまうぐらい。好きなんじゃ。




「おいファルシュ!!よくよく考えたら敵多すぎて帰れないぞ!!どうすんだこれ!!」

ファルシュともう一人の話が終わったところで、僕が顔を出した。

「ん、よくよく考えればそうじゃな……儂、ドジっ子じゃ」

ファルシュが頭にコツンと手をやる。あざと可愛い。

「さてと、縁の神よ。話はわかった。特別に儂がお主と腐食の神を近づける手伝いをしてやろう。ただし条件がある」

「条件?何でしょうか?」

縁の神が自分の頭をひろう。

「儂と此奴の仲に手を出したら……殺す」

ファルシュがとてつもない殺気を放ち、女の人を睨みつけた。

ファルシュってもしかしなくても……結構怖ぇ。

「さて、行くぞ。あ、お主は儂の傍を離れるなよ。儂の左手にすがりついておれ」

「言い方どうにかなんないのかよ……」

僕はため息を付きながらファルシュの左側につく。

「ほれ、道案内するんじゃ」

ファルシュが剣で女の人に指示をする。

女の人はこくんとだけうなづいてあるき出した。

その後ろを少しだけ距離を空けて僕たちがついていく。

歩くたびに山の奥に行っているのだろうか、木が増えていった。

そしてだんだん歩くのも険しい道に変わっていく。

「なぁ、この道で合ってるのかよ……?」

僕が不安で口に出すが、

「はい。彼は陽の光が嫌いなので」

と返される。

そして、どんどん深く、どんどん暗いところへ進んでいった。

「なぁ、この道じゃないよな、絶対……」

限界が近い僕が言うと、女の人がふと足を止めた。

「申し訳ありません……」「本当に、申し訳ありません」

女の人がそう言うと、体がベチャッという音とともに地面に落ちて、はねた。

「お」

女の人の死体の上に丸い赤黒い肉塊が落ちてくる。

「い」

その肉塊はゆっくりと回転して、こっちを向いた。

肉塊には大きな目玉が2つと大きな唇がついていた。

「う」「お」「あ」

楽しげな声を上げながら肉塊が転がると、ベチャベチャという音を立てながら女の人の死体が広がっていく。

「……縁の神は、心の底からお主のことを愛しておったそうじゃ」

ファルシュは下を向いていて、その表情は見えない。

「たとえ方法が何であろうと、お主はそれに答えた。それなのに、何故お主は力なぞに溺れた?」

ファルシュの腕が震えているのがわかる。

ファルシュは今にも泣き出しそうな声で続けた。

「儂は貴様のような阿呆が嫌いじゃ!!心臓の契約……」

ファルシュがパーカーのポケットの中から瓶に入った小さな心臓を取り出す。

タナトス

ファルシュが瓶を握り……割った。

すると、瓶から大量の血が流れていく。

大量の、大量の、明らかに見た目以上の血が周囲の地面を支配した。

有罪エノホス

腐食の神……眼の前に居た丸い肉塊の動きが止まった。

「お……あ…………おあ……う……え……」

苦しそうに腐食の神がもがく。

そして、腐食の神の動きが止まった。

「何が起こったんだ……?」

僕が状況を飲み込めずにいると、

「さて、キリストの腕でも探すかの」

ファルシュがゆっくりと前へ歩みを進めた。

「お、おう……」

僕もつられて前にあるき出す。

ゴンッ

鈍い音がした。

その瞬間、視界からファルシュが消える。

僕は混乱した。

そして混乱と同時に頭にまた激痛が走る。

次は腹に激痛が走った。

「神としての誇りも捨てたか!!外道!!!」

ファルシュの怒号が聞こえる。

そこで僕は自分がボコボコに殴られていることを察した。

「すまない!儂のせいじゃ!」

ファルシュの謝る声が聞こえる。

違うよ、悪いのは君じゃない。君のそばを離れた僕が悪いんだ。だから気に病まないでくれ。

「傷が深い……こうなったら……うぅ……」

ファルシュがなにか悩んでいるようだ。

元はと言えば僕が不注意だったのが悪いのに、ファルシュはなんて優しいんだろう。

「むぅ……仕方がない!おい!ファルシュと契約すると言え!!」

契約?何の話だろうか?

僕の家は俺の叔父が契約してくれてるんだよ、ファルシュ。

叔父さんはお金持ちで父さんと仲が良かったから僕のことを息子みたいに見てくれるんだ。

「頼む!言ってくれ!!お願い……死なないで……お願い……!」

すすり泣くような声が聞こえた。

僕だってファルシュと契約するって言ってあげたい。

だけど、うまくしたが回らないんだ。

何故か上手に喋れないんだ。

「お願い!!まだ……儂……お主に好きって言ってないんじゃ!!まだ、お主といろんなことができてないんじゃ!!せっかく巡り会えたのに、お別れなんて、嫌じゃ!!」

ファルシュの涙が僕に当たる。

好きな人を泣かすなんて、男失格だなぁ。

うまく喋れないなんて言い訳だ。

無理矢理にでも動け。舌。

「ファル……シュと……」

まだだ。まだ力を抜くな。

あと少しだ。あと少しだ。

「けい……やく……」

「する」

その瞬間、霞んだ俺の視界にまばゆい光が溢れた。

すると、だんだん体の痛みが引いていき、意識がクリアになっていく。

「これは……?」

僕が自分の体の回復に驚きの声を上げると、

「うばぁぁぁ!!!よがっだぁぁぁ!!!」

泣いて顔をぐちゃぐちゃにしたファルシュが僕の胸元に抱きついてきた。

「うおっ!?お前、僕を攻撃したやつが近くに……!」

ファルシュの後ろには、体をぐちゃぐちゃに引き伸ばされ、切り裂かれ、えぐり取られた大男が居た。

「よがっだ……よがっだよぉぉぉぉぉ!!!」

と泣きながら僕にしがみついて話さない。

「ったく……」

とりあえず僕に抱きつくファルシュの頭を撫でる。

そこで突然僕に頭痛が走った。

「なんか頭いてぇ……てか頭くらくらしてきた……」

僕が頭を抑えると、ファルシュは僕の胸から離れて、

「あっ!魔力が足りてない症状じゃ!」

といった。

「まぁ、落ち着け!えーっと、魔力供給の手順は確か……」

ファルシュが顎に手を当て考えるポーズを取る。

「えっとぉ……手順がぁ……あっあぁ……あっ……」

明らかにファルシュの様子がおかしい。この様子は何だ?恥ずかしがっているような……

「ん?手順は?」

「えー、えーっとぉ……」

「えーっとぉ?」

何をこいつはこんなに言い淀んでいるんだろう、もしかして、かなりハードなことなんじゃ……

「儂が魔力供給をしないといけないので、その、えっと……」

「儂と、ちゅーをしないと……だ、だめ、なのじゃが……」

ファルシュは顔を赤らめて、もじもじしながら言う。

「何だ、ちゅーぐらい別にいいじゃん。ほら、僕ら幼なじみだし?いけるっしょ。うん、いける」

僕がこともなげに答える。しかし、ファルシュは違うようで

「ほら、いや、でもあれじゃん!儂初ちゅーまだだし、それに見た目も子供のまんまだし、えーっと、それに儂今ボロボロだし……!!」

「あ、分かった僕が初キッスなのが嫌なんだろ〜」

「そういうわけじゃないけど!あれじゃん!お主が好きなの私じゃなくて朱昼だし、儂あんなに優しくないし、おしとやかじゃないし、儂、どんくさいし、馬鹿だし、迷惑かけてばっかだし……んっ」

「僕は朱昼も好きだけど、ファルシュのほうが大好きだよ」

朝の光が木々の葉の間から差し込む。

「だって僕のために一生懸命だし、可愛いし、」

「僕のことが大好きだから」

ファルシュはぽかーんとした顔でこっちを見つめ、

「ちゅー……しちゃった……」

といって倒れ込んだ。

それと同時に体の底の方から力が湧き上がってくる気がした。

すると、僕の体の怠さは消え、超絶健康優良児状態に戻っていた。

「おー!すご!!」

思わず少しジャンプをしてみたりしてみる。

息を大きく吸い込んで、吐き出す。

そしてファルシュを起こした。

僕はファルシュの顔を覗き込む。

「ありがとう、助かったよ。ファルシュ」

「……うん」

ファルシュは顔が真っ赤のままそうとだけ答えた。

そしてしばらくすると立ち上がり、

「よし!あと六部位じゃな!!」

といった。

「は?」

思わず声が出てしまった。

「え、どういうこと……?」

僕が聞くと、

「うん?当然じゃろ?いま手に入ったのは右腕じゃからあと左腕、頭、右足、左足、胴体の上と下じゃ。」

ファルシュが腕の木乃伊を掲げる。

「いや〜、長い旅になるのぉ!!」

「おい!聞いてないぞ!ファルシュ!!」

「だって言ってないもーん!」

「はぁ!?ずるいぞ!」

「へへへ〜でも儂ら契約しちゃったから運命共同体じゃし、もう逃げられないぞ?」

「っ……お前なぁ…………」

すい……お主、儂と一緒は嫌か?」

「やっと名前呼んだか……別に嫌じゃないってか嬉しいけど……」

「じゃあ良いじゃないか!儂らはいつでも一緒じゃ!」

ファルシュが太陽のような笑顔で笑う。

僕とファルシュの関係は末永く続きそうだ。




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あくまで悪魔とときどきどきどき @Suzakusuyama

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