第15話 日頃の鬱憤!?




ガランガラン、、


プシュッ!


「プハーッ!これよこれっ!!こんな画期的な飲み物を作った人は、天才だわーっ!!あっ、、ワカバちゃんだったわっ♡ゲ〜ップ」


「そんなに美味しいのかい?」



ガランガロン、、


プシュッ!


「どれどれ〜?、、んんっ!!?なっ、何だこれっ!!刺激的なシュワシュワが口の中を支配したかと思えば、ほどよい甘さがなでていくっ!!そう、これはまるで、悪魔と天使が戯れているかのようっゲープッゲッフ!!」



母さんとエチゴさんの2人は、コーラに夢中である。

俺としても、地球の素晴らしさが伝わった気がするので、悪い気はしないな!


まぁ、俺の魔力で出来ているってだけで、その味を発明したのは俺じゃないからね。

心からコーラさん(発明した人の名前までは知らん)に感謝を。



さて、ゲップしながらはしゃぎまくってる2人は放っておいて、俺は俺のやるべきことをしてしまおうか。



俺はソファーに寝転がり、ある魔法の開発に着手する。


その魔法とは、もちろん睡眠魔法だ。


街道の真ん中で眠りに付かせるんだから、効果時間に注意しなければならない。


もし仮に、効果時間を24時間に設定するとする。


、、確実に魔獣の餌食になるね、うん。



ならば、半分の12時間か?


、、おそらく結果は同じかな。



まぁ魔族の人を檻から出して、連れ去るだけの時間が稼げれば良いんだよな。


檻なんて、俺の破滅デコピンで爆散するだろうから、1秒あれば充分だ。

そこから魔族の人を担いで、ダッシュでその場を離れる、、3秒だな。


ふむ。余裕をみて10秒あれば済む話か。


じゃあとりあえず、、10秒だけ何をしても絶対に起きない、深い深い真の眠りにつく魔法を。


魔法名は〜、、単純に『スリープ』?


いやいや。真の眠りなんだから、、トゥルー・スリープ、略して『トゥリープ』とか?


う〜む。カッコ良くはないな、うん。まぁ、候補としておくか。


なら、ちょっとギャグを取り入れてみるのも一つの手か?

、、『スヌーズ』とか!


効果は、10秒間真の眠りに付くものの、1分間起きる。、、これを延々と繰り返す。



、、うむ。これはこれで面白いな。『スヌーズ』は別口で作ることにしよう。



それより今は、真の眠りの魔法名だ。

これが決まらないとどうしようもない。だが、ステータスに名前が残るのだから、変な名前は俺がヤダ。



、、あっ!それなら、眠りっていう効果から1度離れてみるのもアリか!


要は、誰にも気付かれずに魔族の人を救い出せれば良いんだから、眠らすんじゃなくて止めちゃえば良いんだよ!!


それなら簡単!魔法名は『ストップ』だねっ♪



どれ、試させてもらいましょうね?ふっふっふ!



俺はカルピスソーダをがぶ飲みしてる2人に向けて魔法を放つ。



[ストップ!!]


ピタ、、、



「ふむふむ。効果範囲内だからか、カルピスソーダまで止まってるな。」


2人は動きを止めて、ピクリともしない。カルピスソーダも動きを止めて、空中浮遊してる。


これ、ある意味危ない魔法なのか?


俺がうっかり効果範囲に入っちゃったら、誰も解除出来なくなっちゃうんだよな?


想像したらブルッと身震いしたので、急いでストップを解除した。



「プハーッ!黒いのより甘みが強いわねっ♪コレも好きだわ〜っ♪」


「僕はこっちのキレ味があるのが好きかな!!」


「母さんのがカルピスソーダで、エチゴさんのがジンジャエールだね。」


ちゃんと動き出した2人を見て一安心である。



「ワカバちゃん、この四角い箱を店頭に置くのはダメかしら?」


「う〜ん。ゴミの問題がある、、いや、無い?」


あれだけ飲みまくっていたはずなのに、空きペットや空き缶が見当たらないぞ!?



「母さん。飲み終わった後の容器はどうしたかな?」


「あら、無くなってるわね。ちょっと待ってちょうだい。」


そう言うと母さんは、残りのカルピスソーダを一気に飲み干した。


空になったペットボトルを床に置く。


すると、ペットボトルを構成していた魔力が、光の粒となって霧散していったのだ。



どうやら、ゴミの問題はないことが分かったな。


しかし、他にも問題はある。

商品の補充や、売上金の回収だ。


俺が近くにいる分には、俺の魔力が自動で消費されて商品補充は大丈夫だろう。


だが、俺が旅に出てしまったら?


どのくらいの距離まで補充されるか分からない。


売上金の方は〜、、勝手に俺のアイテムBOXに回収されてるね、今気付いたよ。


まぁ俺のアイテムBOXに♾️で入ってるから、見た目増えてるか分からなかったんだが、集中してみると、エチゴさんが金を入れてボタンを押した瞬間、『チャリンッ』て感覚がある。


これを日中夜問わず買われると、俺は睡眠不足になるだろう。



「悪いんだけど、コレは身内だけのものにしたいな。」


「そうよねぇ。私的には、これが有ればワカバちゃんのお小遣い稼ぎになるかなって思ったのよ。」


「そうだなぁ。うちから毎月5金貨出すにしても、今時の子らは5金貨くらいじゃ全然足りないって聞くしなぁ。」


「あ〜、、俺、お金は必要ないんだ。実はアイテムBOXの中にね?」


と、俺はアイテムBOXから金貨10億枚(日本円にして約10兆円)出してみた。


おかげで床は金貨で埋め尽くされてしまったが。



「ワ、ワカバちゃん。母さんを捨てないでね?」


「ぼ、僕も。」


「あははっ♪そんな事しないよっ!とりあえず10億金貨出したけど、無限に入ってるからね!これは2人にあげるよっ♪」


「い、いえ。こんな大金、怖くて持ってられないわよ。ワカバちゃんのアイテムBOXに仕舞っておいてくれる?」


「そ、そうだね。僕もこんな大金、死ぬまでに見れただけで満足だよ〜、、。」


「そ、、そか。」


2人は震えた声でお願いしてきたので、なんか納得はいかないがアイテムBOXに回収した。



さて、少しばかり話が逸れてしまったが、本題に戻すとしよう。



「母さん。睡眠魔法ってなんて言うのがあるの?」


「下級だと『ナップ』ね。中級で『スリープ』。上級になると『ディープスリープ』よ。まぁ母さんでもスリープまでしか使えないけどね?」


仮眠・睡眠・熟睡って感じだな。



「ふむふむ。ちなみに母さんのナップでどのくらいの効果があるかな?」


「ふふっ♪気になる〜?、、ほらアンタっ、早くソファーで横になりなさいなっ!」


「ええ〜っ!?もう少し飲んでからでも、、


「ぐだぐだ言ってないで早くなさいっ!!」


「ひっ!、、こ、これで良いかい?」


「まったく。初めからそうしてれば良かったのよ。、、じゃあやってみるわね!」


母さんはエチゴさんに手を向ける。


そして一言、「ナップ。」と。



エチゴさんの方を見ると、目がトロ〜ンとなり、20秒ほどで完全に寝息をたてるまでに至った。



「どう?使えそうかしら?」


「う〜ん。後はどのくらいの効果があるかだね。ちょっとした物音で起きちゃうくらいだと、少し物足りないって感じかなぁ。」


「そうよね。ならスリープの方が良いわね。、、ほらっ!起きた起きたっ!!」


バチンッとビンタされたエチゴさんは、ガバッと体を起こして周りを見渡す。



「あ、、ああ、ナップだったからね。スリープだったら、ビンタくらいじゃ起きないから。」


手の形に赤い痕が残っているが、今はスルーさせてもらおう。



「じゃあ次はスリープいくわよ?」


「わ、分かったよ。起きないからって、あまりビンタしないでおくれよ?」


「もちろんよ?」


疑問形の時点でビンタする気満々だろうね。



こうして再び寝に入ったエチゴさん。

そのエチゴさんの胸ぐらを掴んだ母さん。


うん、これから何が起こるのか予想はつく。



パンパンパパンパンパンパンパパンッ!!!


そして部屋中に響き渡る破裂音にも似た甲高い音。まるで爆竹をバラさずに点火して、1箱分まとめてやっちゃった感。


生の本気往復ビンタなんて、初めて見たぜ。ガクブル、、



ふぅっ。と母さんが息を整え、エチゴさんをソファーに放り出した。


「どう?これなら使えそうかしら?」


「そ、、そだね。」


エチゴさんの顔はパンッパンに膨れ上がり、真っ赤に染まっている。鼻血やら唇や口内が切れて出た血やらが飛び散り、そのままビンタ継続してたんだから当然である。


よく見ると母さんの手からも血が垂れ落ちていた。まぁ返り血だから問題はない、、か。



しかし、ここで1つの疑問が生まれる。



、、実は途中で起きてたけど、往復ビンタで失神しただけなんじゃ?



「えっ?あ〜、、その可能性は考えてなかったわ。う〜ん、試すにしても実験台がコレじゃあね〜、、。」チラッ


母さんはエチゴさんの悲惨な姿を見てそう言った。


そうしたのアナタですからねっ!?



「と、とりあえずこのままじゃ可哀想だから、回復しちゃうね。」


俺はエチゴさんにヒールを使い、元の状態に回復した。おかげで今は静かに寝ついているようだ。、、寝たフリじゃないよな?



「まぁっ!!今のがワカバちゃんの回復魔法なのね!?本当に凄い効果ね〜。」


「ふふっ♪回復には自信がありますっ♪」


「うんうんっ♪それじゃあ、今度はゆっくりいくわねっ!?」


「えっ、あ、、はい。」


俺が回復したせいで、再びエチゴさんはビンタ地獄に突入する事になってしまった。


だがまぁ、さっきのより難易度は低く感じる。


パァンッ!!スパァンッ!!バゴッ!!!ドゴッ!!!バゴンッ!!!


、、途中からビンタじゃなくて拳になっているのは、きっと気のせいだろう。



「ぅ、、うぐぅっ。ス、、スト、ップ。も、もう起きた、、から。」ガクッ、、


ポイッ

「ふぅ。どうだったかしら?このくらいブン殴、、ゴフンゴフンッ!しょ、衝撃を与えると起きるって事ねっ!?」


「そ、、そだね。スリープで充分そうだって分かったよ。」


拳に突き刺さったエチゴさんの前歯を抜きながら、笑顔でそう言う母さん。


そして血だらけで失神したエチゴさん。



エチゴさんに何か不満でもあるのだろうか。、、と、2人にヒールをかけながら、少し不安になる俺なのであった、、。


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