双子悪役令嬢の他人任せ生存戦略
あまざけ
第0章 一つの物語の終わり
最悪のポテンシャル
兵士に連れられてお姉様が断頭台に歩みを進める。
民衆から投げられる石。
聞くに堪えない罵詈雑言。
これは何だ。
お姉様がここまでのことをしたのか。
そして、お姉様の少し右上に見える数字。
ポテンシャル。
数字は歩みを進めるたびに減っていく。
ポテンシャルは私にしか見えない数字だ。
その数字の意味は、最も適正のある行いと現在の行いの差。
人間の可能性を拓く素晴らしい能力。
私はそう理解していた。
しかし、少しばかり違ったらしい。
これでは、見世物ではないか。
お姉様には断頭台がお似合いだと、世界は、そう言うのか。
確かにそうだった。
私が前世にやっていた乙女ゲーム、その一枚絵に確かにあった。
ゲームならば、確かにお姉様の最大の見せ場なのかもしれない。
あの憎たらしい悪役令嬢の最後のざまぁ、そこにもっていくための積み重ね。
私だって、ゲームならばボタンを連打しながら、まぁすっきりしたなと、一つの物語の終わりだと、そう思っていた。
でもここは現実で、死ねば終わりで、そしてお姉様は。
お姉様は、こんなに無念に死ぬために、生を受けたというのか。
お姉様の人生の価値は、断頭台で死ぬことなのだと、世界が言うのか。
ふざけるな、ふざけるなよ。
そんなことがあっていいわけないでしょうが。
ギロチンの刃が堕ちる。
そして数字は0になる。
私は叫びすぎてもう声が枯れている。
この声はもう届かない。
お姉様は。
そして世界は暗転する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます