第45話 米田健の逮捕

☆成宮祥子(なりみやしょうこ)サイド☆


遠回りになってしまったが。

私達は叔母さんの家に来てから色々と片づけをしていた。

それから私は汗を拭っているとメッセージが来た。

それは...徹からでありそこにはこう書かれている。


(お前にも伝えておくよ。...俺な。華と付き合う事にした)


私は驚きを持ってその文章を見た。

それから数秒してから「...成程ね」と笑みを浮かべる。

渦宮華を選んだのか。


そんな事を思いながら私はスマホを見る。

すると作業服を着たお姉ちゃんが現れてから「祥子?どうしたの?」と聞いてくる。

私は「いや。良かったなって」と言葉を発した。

お姉ちゃんは「???」を浮かべながらキョトンとしている。


「こっちの話。後でまた説明する」

「そっか。分かった。貴方がそう言うなら」


そう言いながら私は部屋の片づけをする。

それから段ボールを運んだりしているとまたスマホの通知音が鳴った。

私はスマホを取り出してから見る。

そして驚愕した。


「...え」


それは何かというと米田健が捕まったというニュースだった。

私は愕然としながらその地元ニュースを観る。

そこには(自首した)と書かれている。

アイツが自首?

そんな馬鹿な。


「...お姉ちゃん。米田健が捕まった」

「...え!?何処に居たの?!」

「違う。自首した」

「え!?そんな事をする様な奴だっけ?」

「...何か裏がありそうだね」


そんな事を言いながら考え込んでいるとニュースがまた来た。

(米田健は自首では無く被害女性達に追い詰められたか)という感じでだ。

ああ...成程な。

詐欺被害にあった女子達に追い詰められたのかコイツ。

最後はあっけないものだった。


「祥子。どうだって?」

「...売掛の件で怒った女性達に追い詰められたっぽいね」

「ああ。成程ね」

「...そんな簡単には出て来れないと思うけど。もう一生刑務所に入っていてほしい」

「そうだね。...だと良いけど」


そう会話しながら私はスマホを握り締める。

それからスマホを仕舞いながら窓から外を見る。

しかし何か違和感がある。

何故そんな簡単にヤツが追い詰められたのか。

思いながら私は窓から外を見て考える。


「...うちの父親が何かしたか」


そんな事を呟きながら考える。

いずれにせよ捕まったものは捕まった。

先ずは一安心かと思う。


そんな事を思いながら私は段ボールを持った。

それからまた片付けを再開する。

正直まだしこりが...取れないが...。


☆佐藤徹(さとうとおる)サイド☆


あっけない終わりかただった。

アイツ。

つまり米田健の事だ。

被害女性に追い詰められてボコボコにされてそのまま逮捕されたらしい。

俺はそのニュースを観ながら横に居る華を見る。


「あっけなかったね」

「...そうだな。本当にあっけない。アイツ自首したと思ったらこうだったか」

「でも何で居場所が分かったんだろうね」

「...誰かが糸を引いている気がする。だけど誰が糸を引いているかだな」

「...成宮祥子の母親と父親かな」


俺達は今、カフェに来ていた。

少しだけ温かい飲み物を飲みながらお互いに暖かくなる。

華は笑顔を浮かべながら俺を見る。

俺はその顔を見ながら柔和になった。


「祥子の母親と父親か...有り得るかもな」

「手を組んでいたって話だしね」

「...正直怖いね。不良品を使い果たして捨てるみたいな感じだね」

「...まあ確かに」

「...どっちにせよ絶対に許さないけど」

「そうだな。お前の母親が被害に遭っているしな」


そう言いながら俺は考え込む。

すると下から覗かれる様に華に見られた。

俺は「!?」と思いながら赤面する。

華は「えへへ」と言いながら俺の手を握った。


「やっぱり良いな。彼氏と彼女の関係って」

「そ、そうか。...いきなりどうした?」

「...いや。何となくね」

「...そうか。俺も彼氏彼女の関係は良いって思う」

「そう?...なら嬉しいな。徹の彼女として頑張るね。いや...婚約者としてね」

「言いたい放題だなお前。...だけどその通りかもな」


「でしょ?将来...必ず徹と結婚するんだから」と胸を張る彼女。

俺はその姿を見ながら何だか恥ずかしくなる。

そして苦笑した。

そんな姿に華は柔和になった。

それから俺を見る。


「ねえ。徹」

「...何だ」

「貴方は...幸せ?」

「当然だな。...俺はお前と一緒になれて幸せだよ」

「そっか」


そして恥じらう華。

俺はその姿を見ながら考える。

そして華を見る。

「もしかしたらまだ終わりじゃないかもだけど。...華。それだったら協力してくれるか」と真剣な顔で華を見る。


「うん。そうだね。お互いにもう少し頑張ろう」

「ああ。有難うな。...まだ成宮祥子の母親と父親が残っているから。不安なんだ」

「でも何もしないと思うけどね」

「...まあ念のためにな」


それから俺はコーヒーを飲む。

そして俺は華の手を握る。

華は俺の行動に微笑みながら緊張気味になる。

俺は...幸せを崩させない。

そう決意を新たにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る