第4話 嫌われ者
☆山吹小春(やまぶきこはる)サイド☆
不思議な人だなって思う。
誰が不思議なのかといえば佐藤徹君だ。
何故か彼には惹かれる魅力がある。
クラスでもそんなに目立つタイプじゃない。
そして陰湿な...いじめを受けている。
そんな彼が私は...気になる。
それは多分だけど彼の歌を聞いたからだろう。
「...」
彼は中学時代に歌っていた歌でこんな歌が好きだった。
トップオブ・○・ワールド。
これは世界的に有名な曲であり。
カーペ○ターズが歌っていたのだが。
女性ボーカルは食べものが食べれなくなって亡くなった...とされている。
何でここまで詳しいかって?
それは彼が歌っていた歌の情報から調べたのだ。
そしたら出てきた。
50年ぐらい前?の曲だったと思う。
彼の歌声にぴったりだった。
恋の様な歌だしね。
思いつつ私は彼に近付いてみる。
「ねえねえ」
「な、何?山吹さん...?!」
「放課後。時間ある?」
「あるけど...どうしたの?」
「付き合ってほしい」
クラスメイトがザワザワし始める。
「え?何でアイツなんかを誘うんだ?」という感じで目の前の佐藤君を苛つきながら睨んでくるクラスメイト。
嫉妬している様だ。
私はその嫉妬に「別に良いでしょ。彼を誘っても」と言い返す。
「...でもさぁ。小春ちゃん。アイツ陰キャだぞ?」
「そうそう」
「...いや。そんなの関係ない。私は彼を誘いたいから」
そして私はイラッとしながらその子達から話を聞かなくする。
それから私は佐藤君を見る。
佐藤君は複雑な顔をしていた。
私は「大丈夫。気にしないで」と安心させた。
「...クラスメイト達には色々説明しておくから」
「...そうだな。頼む」
「うん。で。今日は何処に付き合ってほしいかって言ったら.....CDショップなんだ」
「え?それは...まさか」
「うん。昔の洋楽を探したい」
「...俺の影響で?」
「そうだね。半分は君の影響かな。だけど半分は私の趣味だよ」と言いながら私はウインクをする。
それから見ていると陽キャ達が何やらヒソヒソと話していた。
そして佐藤君を見てからまたヒソヒソと会話する。
何だか面倒な感じだった。
「...良いのかな。俺なんかが」
「君だからこそ、だよ。アハハ」
「...そうか。...なら付き合っても良いけど...」
「...君はもうちょっと誇りを持って良いんだよ。...佐藤君」
私はそう言いながら佐藤君を見る。
(今の俺は消し屑の様なもんだ。だから偉そうな事は...言えない)とでも言いたそうな顔をしている。
必死に私は言い聞かせる。
「君は.....何故歌を歌わなくなったの?」
「俺が歌う事で人を不幸にさせるから。だから歌うのを辞めたんだ」
「そんな事はないけどね。....でも君がそう言うなら無理はさせないけど...」
「もう多分歌わないとは思う。だけど...有難う。そう言ってくれて」
その言葉に私は笑みを浮かべる。
すると教室のドアが開いた。
それからダウナー系の女子が入って来る。
さばさばした様な。
誰だろう。
「華?」
「...そいつもしかして山吹小春?」
「あ、ああ」
「...山吹小春は陽キャでしょ」
そんな感じで言われながら私を睨んでくるその女の子。
私は目をパチクリしながら目線をずらす。
それから「佐藤君。またね」と声を掛けてから離れた。
すると「待って」と声がした。
「...アンタ...徹の何?」
「...え?な、何って何?」
「彼は今は傷付いている。...ろくな事をしなかったらぶっ飛ばす」
「...そんな事はしてない。...うん」
教室中が「アイツ何?何様?」という中。
私は2人から離れる。
それから椅子に腰掛けていると「悲惨だったね」と声がした。
顔を上げると米田健司(よねだけんじ)が声を掛けてきていた。
学校1のモテ男くんである。
高身長でイケメンでスクールカーストめっちゃ上位の。
サッカー部の部長だ。
「そんな事はないよ。...ただ彼に興味があるから」
「...彼は良い人なのかな」
「私からしてみたら良い人だと思うけど...」
「そうか。だけどああいう女子と絡んでいるから。あまり良くないと思うけど」
「...そんな事を言っちゃ駄目だよ」
健司はそう言いながら「どうかな」と肩をすくめる。
私はその顔を見ながら教室中を見る。
教室中...何だか嫌な雰囲気になっていた。
さっきの華という女子の言葉が気に入らなかった様であるが。
「私も嫌いかな」
そう言いながら永田睦子(ながたむつこ)が寄って来る。
少しだけギャルじみた感じの美少女。
髪の毛も茶色。
化粧を少ししている。
「...佐藤って何か生意気だよね」
「陰キャの癖にな」
「...」
周りの女子と話す睦子。
反応は上々では無く。
分割している。
私はその事に悲しくなりながら佐藤君を見る。
するとダウナー系女子と目があった。
何故か私は目を逸らしてしまった。
一体何故だろうか。
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