天の龍 大地の竜
入江 涼子
第1話
とある異世界に、天の龍が住む国があった。
その国は
そんな天の龍一族の一員に、
「父さん、母さん。私のお相手はこの国にいるのかしら?」
「……桜蘭、またそんな事を」
「そなたは何を言うの?」
「だって、どこを探したって。私好みの男龍がいないのよ!」
「いやまあ、お前好みの男龍と言われても。どんな奴だったら良いのだ?」
父が桜蘭に問うた。待ってましたとばかりに、彼女は答える。
「私好みの方は、まず。なよなよしていなくて、腕っぷしが強くて。目つきがキリッとしていたら尚良いわ。それでね……」
「……桜蘭、そなたを好きな
「えっ、陽蘭?!あいつは嫌よ、すぐに私を睨み付けてくるから」
桜蘭はそう言って、本当に嫌だとばかりに首を横に振った。
「まあ、そなたはそう言うだろうと思ったわ。仕方ない、桜蘭。隣国に行ってみたらどう?」
「え、隣国に?」
「そうよ、そちらなら。桜蘭の好む男子もいると思うわ」
母が言うと、桜蘭は俄然に行く気が起きた。隣国は確か、ルートラ国と言ったか。そちらに行けば、自分好みの相手が見つかると桜蘭は夢見たのだった。
数日後に桜蘭は旅支度を整えた。ルートラ国に行くためだ。桜蘭は人型のままでは、色々と不都合があるからと龍型に姿を変えていた。口に荷物を
(あ、確か。こちらはルートラ国と洞天国との境目だったわね)
桜蘭は頭を地上に向けた。少しずつ、地面へと近づく。鼻先が擦れ擦れになったところで人型に戻る。落ちかけた荷物を両手で受けとめ、足を着地させた。
「……よし、ここを越えたら。隣国のルートラ国ね!」
桜蘭は意気揚々と歩き出す。が、彼女は知らなかった。ルートラ国にて思わぬ出会いをする事をだ。
ピチチと空を小鳥が飛び交った。
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