パワハラ女上司からのラッキースケベが止まらない
セカイ
第1話 毎朝の土下座の楽しみ
「ほら土下座、しなさいよ。あなた、得意でしょ?」
年末の忙しさが顔を見せ始めた十月末のとある朝のこと。
俺の上司である
会議室の椅子に座って脚を組み、不機嫌そうに脇の机を爪でトントンと鳴らしなが見下ろしてくる
小さい会社というのもあるが、三十二歳という若さで総務部の部長を務めている、まぁザ・キャリアウーマンという感じだ。
そんな彼女の足元で俺、
今年入社して半年ほどが経ったばかりの新入社員、正直まだまだ学生気分が抜けていない自覚がある二十二歳だ。
新米なのだから上司からお叱りを受けるのは仕方ないことだけれど、年上とはいえ若い女性に正座させられ叱責されるというのはなかなかに情けない気分になる。
しかし悲しいかな、これは俺の、いや俺たちのほぼルーチンワークと言っていい。
「ほら早く。誠意を見せなさいよ、やる気があるならね」
「……申し訳、ございませんでした」
再度そう促され、その冷え切った声に俺は渋々頭を下げた。
土下座の強要なんて今時一発アウトのパワハラだが、無駄に抵抗するだけ損だともう理解している。
床に頭をつけて謝罪の意を示すと、頭上からは重い嘆息が聞こえてきた。
まるでそんなもの見せられてもどうしようもないとでも言いたげだ。自分がさせているのに。
ただこれすらもいつものこと。俺はもう慣れっこだった。
椿原部長のパワハラは今に始まった事ではない。つまりこれだけではない。
入社してすぐくらいは特に何もなく平和なものだったけれど、一ヶ月くらい経ったころからか、部長の当たりが妙に強くなったんだ。
小言が多くなるところから始まり、それが次第に意味のない難癖から来るようになり、あっという間に罵倒や過剰な叱責となっていった。
ミスともいえないようなことを取り上げて叱りつけ、誰もいない会議室に呼びつけ土下座をさせる。これはもはや午前中の恒例行事になってきていた。
正直何を怒られていて、自分が何を謝っているのか最近はよくわからないが、俺はゲームのデイリーミッションのごとく淡々と頭を下げ続けている。
「大体あなたね、学習能力なさすぎなのよ。こう毎日同じようなことで私の時間を奪って……この無駄な時間の損害を賠償請求したいくらいだわ」
俺の土下座では満足せず、椿原部長はくどくどと説教を続ける。
内容なんてほぼなく、ただただ俺をこき下ろしたいだけのものだ。
正直聞くに耐えないし、というかもはやまともに聞いていない。
きっと俺に問題があるというより、ストレスの捌け口にしているだけなんだろう。
こんなあからさまなパワハラ、それこそ時間の無駄だし苦痛でしかない。
ただ、というのもの変な話だけれど、これが上司によくいるようなキモいおっさんではない、というのは結構マシなポイントなのだ。
キモいおっさんどころか、椿原部長はなかなかの、いやすごい美人だ。
高圧的な性格に似合った、強気さを感じるスマートな吊り目美人。綺麗に伸ばされた黒髪のストレートもよくマッチしている。
しかも女性ながらに高めの身長。おそらく百六十センチ後半はありそうで、スタイルも抜群にいい。
キャリアウーマンらしくスーツがばっちり似合っているのはもちろんのこと、タイトスカートからすらっと伸びる白い美脚が実に艶かしい。
そして何より一番インパクトがあるのが、誤魔化しようのないその巨乳だ。
俺が今まで見た中で多分一番大きい。大学時代に一人だけGカップを謳う女の子が知り合いにいたけれど、椿原部長はそんな彼女よりも大きいように見える。
それはつまり、Hカップということなんではないかと俺は密かに目測している。
つまり、パワハラをするようなその嫌な性格以外、外見に関してはめちゃくちゃ魅力的なお人なのである。
別に俺は女性に罵倒されて興奮するような変態ではなけれど、しかしここまでレベルの高い美女が相手となれば、いくらか苦痛が軽減するというものだ。
しかしもちろんのこと、いくら美女にされるとはいえ、しんどいものはしんどい。
キモいおっさんにされるよりはマシとはいえ、嫌なものは嫌なのだ。
しかしそれでも、変態でもマゾでもない俺が半年近くのパワハラに耐えてこられた。
もちろんそれには理由がある。
「────ちょっと、聞いてるの?」
つらつらと述べられていた罵詈雑言が途切れ、椿原部長の高圧的な声が降ってくる。
もちろん聞いていなかった。聞いていても意味はないし。そしてどちらにしてもこの展開にはなる。これもまたおおよそいつものこと。
「聞いているのって、聞いてるの」
聞いてますと俺が答えるよりも早く、椿原部長のパンプスが俺の眼下に滑り込んできて、爪先を顎に引っ掛け顔をグイと持ち上げた。
俺は土下座の姿勢のままに強引に首をもたげさせられ、かなり不自然な体勢に強いられる。
「せめて話くらいは一言一句聞き漏らさず、その胸に刻みなさい。それくらいのことはできるでしょう? それもできない無能だとは、思いたくないわね」
俺の間抜けな姿を見て椿原部長はクツクツと笑い、そして説教は続く。
俺はその
これこそが、俺がこの執拗なパワハラに耐えられる動力源だ。
いや、美女に足蹴にされることに悦びを感じているわけではない。
それ自体は人並みに屈辱感を覚えてはいるのだが。だがしかし、そこではない。
土下座の姿勢を継続しつつ顔を上げさせられている俺は、首の可動域的に当然、目の前で椅子に座る椿原部長の顔までを見上げることはできない。
かつ、部長の脚が届き膝が伸びる範囲で持ち上げられているので、俺の目線は結局かなり低いのだ。
つまり俺の視線は、俺の顔を持ち上げている部長の脚のラインにほぼ固定される。
部長からは俺は必死にそのお顔を見上げているように見えるかもしれないが、実際に俺に見えるのもは、すらっと伸びた白肌の
細くも程よくムチっとした太ももが、椅子に座っていることで柔らかく弛んでいるところがよく観察できる。
俺の顔を持ち上げる爪先から、滑らかな丸みを描いて嫋やかな太ももへと膨れていく脚線美。
絶景かな絶景かな。眼福にも程があるのである。
俺は何を隠そう脚フェチなので、この光景を特等席で見せてもらえるというのは、もう役得としかいえなかった。
そう。俺は毎朝のこの謎のお説教の最中、美人上司の生脚を間近で堪能しているのだ。
がしかし、極め付けがまだ残っている。
「ッ────!」
今日は赤だ。真っ赤だ。今夜は勝負なのだろうか。かなり攻めているが色気はもちろん抜群だ。
……そう。パンツがよく見える。
脚のラインから太ももまでよく見えるのだから、当然その奥も見えてしまう。
剥き出しの生脚よりはチラつきがあるけれど、その見えるか見えないかがまた味なのだ。
今日は赤だからスカートの陰で若干色の判別が難しかったけれど、しかし間違いはない。
ところどころ透け感のある、割とセクシーめなものであることもしっかりと確認できた。
この時間の虚無感や屈辱感が吹き飛ぶくらいの収穫がここにはある。
もはや皆まで言うな、だろうが。この時間が至福なんだ。
スタイル抜群の超絶美人の、その美脚とパンツを間近でじっくりと視姦できる。
頭ぐらいいくらでも下げよう、聞くに耐えない罵詈雑言も聞き流そうというものだ。
しかし、金を払えば苦痛に耐える必要もなく、そういうサービスをしてくれる店があるだろうと、そんなことを言うやつもいるかもしれない。
違う。違うんだ。プロのお仕事ではなく、素人かつ身近な女性だからこそこれは素晴らしい光景なのだ!
……我ながらゲスいとは自覚しているけれど、共感してくれる男性諸君は多いと俺は信じている。
そして肝要なのは、俺がこの光景を堪能していることを、椿原部長ご本人は全く気づいていないということだ。
「────もういいわ。これ以上は時間の無駄だし」
開始からどれくらいの時間が経ったのか。溜息をこぼしながら、椿原部長はそう言う。
オマケとばかりに足をグイッとあげて俺の頭を蹴り上げ、のけ反った俺の視姦タイムは終了してしまう。
長い脚を組んで机で頬杖をつき、蔑むように俺を見下ろす部長。
しかしこれは、俺がその下半身を舐め回すように眺めていたから、ではないのだ。ただのデフォルト。これが通常モードというだけ。
椿原部長は、俺がいつもずっと何を見てるのか、全くご存知でない。
露出癖のある痴女で敢えて見せつけているとか、あるいは俺のようなゴミに見られたところで気にならないとか、そういったことではないのはこの半年で理解した。
全くもって気づいていない。無自覚なんだ。
それがまた余計にいけないことをしている気分になって────いけないことはしているんだけれど────とてもそそるのだ。
嘘のようだけれど、そうじゃなきゃ毎日同じことはしないだろう。
それに椿原部長の普段の行動を見ても、無自覚が間違いないことは裏付けられる。
俺はこの半年で色々なパワハラ、イジメや嫌がらせを受けてきた。
のだが、そのほぼ全てにおいて、最中に何かしらエロいことが起きる。
そしてそういったことが起きていることに椿原部長ご自身は全く気が付いていないのだ。
自分では無自覚に、俺にエロい体験を提供してしまっている。
意図していない、偶然に起きるエロ展開。つまりラッキースケベなんだ。
漫画なんかだとラッキースケベの後は、遭遇した男はその女性によって粛清されるのが大体お決まりの流れ。
しかし当の本人にラッキースケベをしている自覚がないので、もちろんそれはない。
俺はこれを、受けているパワハラで清算していると思うようにしている。
ということで、心置きなく楽しませていただいているのだ。
「はぁ……。早く業務に戻りなさい。あなたが無駄にした時間の分キビキビ働くのよ」
椿原部長にそう一喝され、俺は素早く立ち上がり、適当な謝辞を述べて会議室を後にした。
毎朝毎朝、ルーティーンのように土下座をさせられるのはたまったものじゃない。
けれどあの美人女上司によるパワハラに付随するラッキースケベは、なかなかどうして手放し難いんだなぁ、これが。
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