第3話 接戦と2階層

 他のゴブリンと同じく振り下ろししかしてこないと思ったがゴブリンCは俺の予想に反して普通の人と変わらない攻撃をしてきた。


 振り下ろし、横薙ぎ、袈裟斬り、切り上げ、

 やっている事がほぼ剣道である。

 加えてスライムからの攻撃にも注意しないといけないのでそれも難易度の高さに拍車をかけている。


「コイツ隙がねぇな!スライムも鬱陶しいしスライムから仕留めるか…」


 目が慣れてきた事もあってゴブリンCの攻撃を少ない動きで回避し、スライムを優先して叩き落とす、空中での叩きつけなら木刀のダメージと地面激突時のダメージが入り早く倒せるだろう…多分!


 袈裟斬りを避けてスライムに一撃、突きを半身逸らして回避しまたスライムに一撃入れた所で先程までに入れていたダメージも相まってスライムはゼリーと魔石になって消えて行った。


「これで1対1タイマン!」

 全ての思考をフルで使いゴブリンCを仕留めにかかる。勿論同じ轍を踏む気は無いので周囲に気を使いながらだ。


 ゴブリンCは小振りな攻撃を連打して隙を晒したら大振りの攻撃を入れてくる。どこぞの武人かボクサーかよと言いたくもなる構成だが大振り時には隙がある。小振り攻撃時は打ち込める隙が無いため大振り時の隙を突きそのまま畳み掛けるのがベストのはずだ。


(敢えてここで胴への横薙ぎを木刀で受けて大きく弾かれたをして…今っ!)


 いくら動きが良いと言ってもあくまでゴブリンだ、あからさまな隙を作れば上段からの振り下ろしで仕留めにきた。


 が当然それは狙いの内で上に構えて隙だらけのゴブリンの手の甲に即座に渾身の一撃をお見舞いすると、奴の棍棒はその手から離れて壁際に飛んでいった。


「んでもってここっ!」

 弾き飛ばした勢いのまま一回転して全力の横薙ぎを首元に叩きつけ、そのまま壁に叩きつけた。


「うしっ!終わったぁ〜にしても背中痛ぇ〜」

 叩きつけの後無事に魔石になったのを見て息を吐く


「スライムゼリーは確定ドロップなのか?まぁこのままダンジョンに潜り続ける気だから食料はありがたいか…魔石も飲んで先に進まないとな」


 などと考えていると身体が熱くなる感覚を覚えた。

「ん?魔石を飲んでないのに身体が熱いな…これは、まさか!」


 慌ててステータスを開くとある意味1番の醍醐味とも取れる数値の変化が見てとれた。


 ネーム 東野 建人ひがしの たける

 レベル 2

 MP 11/11

 SP 111/111


 スキル『鑑定』

 ー基礎魔法ー

『聖属性魔法』


 称号

 ーレア度Sー

『魔石喰い』


「ッシャァ!レベルUPじゃい!この為にダンジョンに潜ったと言っても過言では無い!(過言)」


 更に落ちていた魔石4個をスライムゼリーで流し込む


 ネーム 東野 建人ひがしの たける

 レベル 2

 MP 15/15

 SP 115/115


 スキル『鑑定』

 ー基礎魔法ー

『聖属性魔法』


 称号

 ーレア度Sー

『魔石喰い』


「ハハッ、やっぱり数値が上がってくのを見るのは一種の中毒性があるよなぁ…これだけでダンジョンに来て良かったと思えるわ〜」


 小部屋から伸びていた道を進みスライムを4体、ゴブリンを5体程倒した後(集団戦は無かった)遂に階段へと辿り着いた。勿論魔石は飲み込み済みであるし、もう1レベ上がりレベル3になった。


「ここが階層移動の階段かぁ…ここまでの流れからするとわりかしラノベのダンジョンに近いから、次の階層から馬鹿みたいに強くなるって事は無いと思うけど、一応警戒はしておくかぁ…」


 レベルUPの恩恵か心なしか戦闘能力が全般的に上がったと思うが測ったわけでは無いから感覚でしか無いな。


 階段を降りても上と変わらない通路が続いている。が出てくるモンスターに変化が現れた。


 具体的にはゴブリンが1階層で戦った時の強い奴と同じ動きをし出した。他にも二足歩行犬である、いわゆるコボルトも姿を見せ出した。


 コボルトの攻撃方法は主に爪による引っ掻きと牙による噛みつきだが今の所はギリギリ回避出来ている。


 スライムの変化は特に無い様だ。


 そして1階層がチュートリアルだと言わんばかりに群れとの戦いが増えた。


 そんな2階層で俺は今コボルト2体とゴブリン3体を相手に団体戦をしていた。


「シッ!」

 コボルトの引っ掻きを避けゴブリンの棍棒を弾き飛ばす。


 ゴブリン2体の同時攻撃を受け流し、背後のゴブリンに当てる。


 2階層に降りてから更に2レベ上がって合計5レベになり、1レベの時に比べて明らかに動きが良くなっている。


 コボルトの獣らしい爆発的な加速に最初こそ驚かされたし、群れとの戦いも苦戦させられたがまぁ数戦もすれば慣れる。


「ヤバっ!?グッ…」

 しかし、連戦によって気づかない内に集中力が落ちていたのだろう。

 俺は背後から迫っていたコボルトの牙を避けきれずに右肩に受けてしまった。


「幸いにも左利きだから戦えない事は無いが木刀は基本両手で使うもんなぁ…スピードも足りないし受け切れるかこれ…」


 それは1階層の時の不意打ちとは比べ物にならない命の危機であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る