2024.07.17──異能検挙③
イースト都市の外れにある廃ビル。
窓ガラスは割れ、各フロアが吹き曝しとなり、外からでも内部に人間が一人も居ないことが分かる、解体を待つばかりの終わった建物。
だが、この建物はカモフラージュである。
廃ビルが立つ地表から20m降下した場所に、テニスコート程の空間が作られている。そこには地上の廃墟とは打って変わり、老若男女、多種多様の人間が集まっている。
そのような地下空間が、イースト都市の至る所に点在しており、各空間は蜘蛛の巣のような綿密な通路によって繋がっている。
通路は水道や下水道に通じている箇所があり、地下空間に棲む人間はそこを通り抜けて、地上と地下を出入りする。
地上の都市を隅から隅まで探っても決して見つかることはない、犯罪者による地下の
その『新世代』のリーダーである德馬一字は今、異能対策課の刑事に拳銃を突き付けられている。
「──なぜだ」
身体中から汗の流れる德馬の視界には、一斉に乗り込んできた警吏達の手によって押さえられる仲間達の姿が映っている。
「外部に助けを呼ぼうと思っても無駄だぞ。他のアジトでも今頃同じ光景が広がっている」
そう言うのは目の前で拳銃を握る刑事、鳥林である。
「……っなぜだ!!」德馬が激昂した。「このアジトに入るには地上に星の数もあるマンホールのどれかから地下に入るしかない上、地下の通路は都市中に血管のように広がっている! その正解の道も仲間の異能によって人の痕跡は常に消しているはずだ! なのになぜ貴様ら都市の狗が我々の聖域を見つけ出すことができるのだ!?」
「人の痕跡を消している……か」
銃の標準を外さないまま、鳥林が言った。
「德馬一字。地下に棲んでいる生き物は、人間だけなのか?」
「…………なに?」
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