2024.07.15──異能検挙①
異能を携える人間が爆発的に出現し、それに伴う異能犯罪が多発する世界。
各都市の公安では異能犯罪に対抗するための部署が作られ、日夜異能犯罪者との苛烈な死闘を繰り広げていた。
イースト都市、警吏センター、異能対策課。
扉の電子ロックが解除され、一人の若い刑事が入室してくる。
「鳥林進、ただいま参りました」
鳥林が頭を下げる先には、髪が灰色の中年男性が柔和な笑顔で椅子に腰掛けている。異能対策課の課長、木戸剛一だ。
「まあ、とりあえず掛けたまえ」
「はっ」
木戸に言われて頭を上げた鳥林は、ふと、室内にもう一人の人間が居ることに気付いた。
自分よりもさらに若く、警吏としては頼りない体格をしている。
「課長、もしかして彼が……」
「ああ、異能課に配属された新人だ」木戸が答えた。「異能者だよ」
紹介に預かったその若者は、スッと音もなく立ち上がり、鳥林に礼をした。
「本日からお世話になります……六枷小玉と申します」
六枷は非常に小さな声で話した。滑舌は良いようで、鳥林はハッキリと言葉を聴きとることが出来た。
「こちらもよろしく。鳥林進だ」
鳥林は笑顔で答えた。彼の声は大きく、また身体もしっかりと鍛え上げられ、六枷とは対照的な人間と言える。
「さて……挨拶も済ませたところで、さっそく二人には任務に出てもらう」
木戸が話を切り出した。
「このイースト都市で猛威を振るっている異能犯罪組織の一つ、『新世代』。これを今夜の内に検挙する」
その言葉に鳥林は目を丸くした。
「御冗談を!『新世代』は我々が1年以上調べているにも関わらず、尻尾さえ掴めていない組織です。それを一晩でなんて……」
「その為に六枷くんに来てもらったのだ。厳しい申請や検査を通してね」
木戸が笑顔で返事し、六枷はまたペコリと頭を下げた。
「……キミの異能というのは、そこまですごいのか?」
鳥林が尋ねると、六枷は鳥林に近付いて、ポソリ、ポソリと返答した。
「────。」
「…………なんだって?」
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