2024.03.22──オキアミのスープ
今日はオキアミが大漁だったので、それを使ってスープを作ったはいいが、一人で食べるにはさすがに量が多すぎた。
保管してもいいが、せっかく新鮮なエビを使った温かいスープだ。近所の人にお裾分けしよう。僕はスープを圧縮容器に入れて慎重に蓋をすると、それを持って一人乗りの潜水艦に乗り込んだ。
減圧室が海水で満ちると玄関の扉が開き、僕の潜水艦は海に飛び出す。しばらく進んでから後ろを見ると、フジツボやらヒトデやらがびっしりと付着した我が家が見えた。最近は外壁の掃除をサボっていたので、今度の休みにやらないといけない。
お隣さんの住居までは約20kmの距離。今日は海が荒れて海中が濁っているので、ライトを照らしながら慎重に進む。まだこの星に「地上」というものがあった頃、家と家との間は徒歩で往復できる距離だったそうだ。それだけ住める場所が多く、人口も多かったのだろう。現在はこの広い海の中に、人間は2000万人くらいだ。
潜水艦のライトが海中のサメやらイカやらを照らしていく内に、見知った建築物が見えてきた。僕は備え付けの青いビーコンを灯し、来訪を知らせる。
数分後。ゴボゴボ空気を出しながら、玄関の扉が開いた。僕と潜水艦は遠慮なく上がらせてもらう。もしお隣さんが了承するのなら、今日はこのまま一緒にオキアミスープで晩餐会といきたい。海が濁るこんな日は、親しい人達と一緒に過ごすのが一番だ。
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