閻魔は異能都市に転生しました
シャル
第1話
『了解〜』
空気が濁った都市のビルの屋上で一人の男が電話を切る。
「いるか?セナ」
「ええ…あなたが動くってことは、上も人手不足なのね」
セナと呼ばれた女はため息混じりにそう言った。
「収容する場所がないんだろうさ…こないだの大規模テロで刑務所も襲撃されたようだしな」
ふと振動したスマホを見ると地図が送られてきていた。
「まぁ、収容してくるわ」
「いらない心配かもしれないけど、気をつけて」
それには答えずに俺はビルから飛び降りる。
組織の名前は【警視庁異能都市管轄:異能課】
適正ランクと同様にアルファベット序列式でFからAまで存在する。異能都市にいる能力者はD以上。基本的に異能課では、Aランク能力者ならB、Bランク能力者ならcと1ランク低い部門に配属され、部門と同ランクの犯罪者に割り当てられる。そんな中Aランクの犯罪者が起こす犯罪は凶悪なものが多く、死者も多い。
そんな犯罪者に割り当てられる部門。通称X
Aランクより上のランク適正を例外的に与えられている人物のみで構成される特殊部隊なのだ。
構成員は7名 明かされている情報はそれだけで、実態は謎に包まれている部隊だ。
「ここか…相手はAランク犯罪者2人のテロによる立てこもり…めんどくさそうだなぁ〜」
俺はそう言って犯人が立て込んでいるらしい廃ビルの正面に立つ。情報によると相手は能力武具で武装しているようだが、俺は手ぶらで歩く。
この世界とは所詮そんなものだ。通常、適正ランクに多少の差があれど、使い方によっては下位のものが勝つ可能性もある。だが、Xに配属される適正ランクは文字通りX。AとXの間には天と地ほどの差があるのだ。故にどれだけ束になろうと、Xランクの能力者に勝つことは不可能なのだ。
「獄門」
俺が詠唱した刹那、周囲が闇に包まれる。
「収容」
瞬間、轟音を立てて廃ビルは崩壊する。無理やり地形ごと中にいる人間を収容したのだ。
「閉門」
あたりの闇がはれ、あったはずの廃ビルが綺麗に消滅していた。
「ようこそ、俺の地獄へ」
不敵な笑みを浮かべそう呟くのは俺、【警視庁異能課:X序列1位】
「コードネーム:ハク、任務完了」
白髪の悪魔は報告を済ませるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます