第35話 ダランディア
早速悪魔は複数隊に分裂して、こちらに向かってきた。その数、一〇体を超える。さらにその全員におぞましいほどの魔力がある。
私と雅夫さんとの二人かかりでも、そう簡単には倒せないだろう。しかも、今もネッシーが復活しようとしている。これは、早く蹴りを付けないといけなさそうだ。
「シャインフレイム!!!」
聖なる炎を、悪魔に向けて放つ。その炎は燃え上がり、凄まじい炎となり、悪魔に向かう。その炎で一体の悪魔は消える。だが、そのすきに別の悪魔に、背中を蹴られてしまう。
「そんなものでは、このディルダイトには勝てないぞ」
そう、ディルダイトは高らかに笑う。雅夫さんの方もなかなか攻め手に決めかねていて、普通に、きつそうだ。
やはり数で優位を取られているのは厳しい。
何とか八体は倒したが、そこまでだった。もう、私も雅夫さんも、ダメージを受けすぎて、フルボッコされてしまっている。
「ふふふ、これで終わりか」
ムカつく! でも地面に転がり落ちる私たちには何も打つ手がない。
もう、終わりなのか、私と雅夫さんはみじめにここに転がることしかできないのか……。
その瞬間、空から闇の光線が振り、ディルダイトの体を貫く。
「新手かあ」
「馬鹿ティア!!!」
そして私にパンチが加わる。ルティスの手だ。
「なんで、私を連れて行ってくれないの?」
「……」
「私がティアを売ると思ってたの?」
「思ってる」
ルティスは、善悪をたがわない人間だ。だから、友達関係何にもなしで、私を売るという可能性も考えている。
「ってか、私達今お尋ね者なんだよ。信じる方が無理だし、そもそもルティスにも迷惑がかかっちゃう」
「迷惑くらいかけてよ。私はティア達を信じてるから、裏切るわけないじゃない。それに、高塚君は味方でしょ?」
「ああ。俺はティアの敵をつぶす」
「じゃあ、良いじゃない。私も高塚君の味方よ」
そして、ルティスは、闇のオーラを放ち、ディルダイトを怯ませる。もはや一人となったディルダイト、もう倒すのは簡単だ。
「私がとどめを刺すよ」
そう、ルティスと雅夫さんを制して、ディルダイトに近づいていく。だが、その瞬間、
「はあはh、まさかもう勝ったと思っているわけではなかろうな。そうだとしたらまさに滑稽なことだ。もう、貴様らに勝ち目はないというのに」
「……何を言って」
「見せてやろう」
「……まさか」
雅夫さんがそう呟くのを聞き、「そうだ!」というディルダイト。そういう事ね。
「もう、ネッシー蘇生の準備は整った。さあ、いでよネッシーいや、ダランディアそして奴らを滅ぼすのだ」
そして地面から巨大な怪物が現れた。
「……まさか、間に合わなかったってこと?」
「いや、まだだ。俺たちが倒せば間に合ったことになる」
「そうだね」
そして私たちはネッシーに向かって行く。だが、すぐに炎を吐かれる。その炎はスコットランドの広大な自然をすぐさま火の海に変えた。
「そんな……一瞬で?」
流石に燃え移るのが早すぎる。こんなのふつうあり得ない。
「このダランディアは物理現象すらも凌駕する。さあ、このダランディアに滅ぼされるという事を誇りにしながら死ぬがいい」
そして、ダランディアは凄まじい業火を雅夫さんに向けて吐く。
「雅夫さん!?」
私が叫ぶ。だが、その前に炎は雅夫さんの槍によって消滅した。
「風良かったー」
良くはない、今度はルティスに向かって吐いてきた。ルティスもまた、何とか闇の波動で食い止めるが、それも長くは続かないようだった。だんだん向かってくる炎に私たちは皆困憊してきた。
「これは先に仕掛けるしかないな」
そう、雅夫さんが言う。私もその言葉に「うん!」と言って、一気に叩きに行く。だが、ダランディアは中々ひるまない、それどころが、炎を次々に放ってきて危険だ。
これはまずい、こんなに手ごたえを感じないのは初めてだ。これじゃあ、本当にじり貧だ。
「ティア、ルティス。一つ考えがある。俺には為技がある。それを使って一撃で奴を滅ぼす。だから今回そのサポートを頼む」
「……分かった」
雅夫さんを守る。それが私たちの任務だ。絶対に雅夫さんは傷つけさせない。
その思いで向かってくる炎をわたしとルティスで食い止めていく。雅夫さんの攻撃さえ届けば勝てる、その一心で。ディルダイトが吐く炎を必死で私の光とルティスの闇で食い止めていく。これで、何とか耐えきって雅夫さんの槍をぶつけないと。
だが、その時ディルダイトの目が変わった。赤色に。すると、それは大きく海から跳躍し、陸に着地した。そしてそのまま猛スピードで雅夫さんに向かって行く。
「ルティス!!」
「ええ!」
ルティスは闇の波動で、必死にディルダイトの攻撃を食い止めていく。その間に私はルティスの手助けに入ろうと、ルティスのもとに向かう。
「ティア、こいつ力がすごいわ」
「うん。そうだね」
しっかりとこちらを打ち破ろうとしている。今は何とか長手はいるが、このままだともたない。
「雅夫さんまだなの?」
「まだあと二分くらい為が必要だ」
「っもう、これじゃあ持たないよ!」
ぬ本持ちこたえないといけない。これじゃあ。
「もう仕方ないよね。ルティス! 準備はいい?」
「ええ」
そして私とルティスは力を合わせてそのままディルダイトを押し返そうとする。
「「いけえ!」」
私とルティスの合体技だ。これで無理ならもう無理だ。
すると、ダランディアは押し返しされた。勿論私たちの攻撃で。
そして押し返していく。
「溜まった!」
そして雅夫さんはダランディアに槍を投げる。そしてそれはダランディアに当たり、そのままダランディアはその場に倒れる。
「「やった!」」
私とルティスはハイタッチする。
「雅夫さんも!」
雅夫さんのもとに向かってハイタッチ……ではなく、ハグをした。
「おい、ティア」
「いいじゃん!」
そしてさらに強く抱きしめた。これは、うん。ご褒美という事で。
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