第21話 勉強会
「ティア俺たちも学校に戻るか?」
「ううん。もっと遊びたい」
「わかった」
そして、結局いろいろ遊んで今日は全欠席だった。たがティア曰く、出席にしてくれるらしい。これも不思議な力でらしいが。
「ねえ、今日も晩御飯外で食べよ?」
「今日はだめだ、家で食べる」
「ええー」
「だってお前、最近結構外で食べてるじゃん。家庭料理に頼らないと」
「えー、てか雅夫さん、ご飯作れるの?」
「作れるに決まってんだろ。お前が来る前どうしてたんだよ。じゃあ」
「え? 冷凍食品?」
「作ったほうが安いんだよ。親からの仕送りあるとはいえ、それに頼りすぎるのもなんだしな」
そして、野菜と肉を取り出す。料理とは言え、これを炒めるだけの簡単な料理だ。
「じゃあティアは野菜を斬ってくれ」
「うん!」
そしてティアの切った野菜を炒め、肉を炒め、味付けをして完成した。
そして、完成した。
「おいしそう!!」
ティアがそれを見てそう叫んだ。まあ、三〇分以内で作ったものにしては十分おいしそうだ。
「いだたきまーす」
そして二人でご飯を食べる。そしてティアが先に一口目を口に入れた。その瞬間ティアは「おいしい!!」ともぐもぐと食べる。
「良かったな」
と言いながら俺も食べる。塩加減が完璧だ。野菜のシャキシャキ感と肉のうまみがマッチしているし、最高だ。
「うまいな」と、俺も府と呟く、するとティアは「でしょー!!!」よ、俺の顔をまっすぐ見ていった。全く、無邪気過ぎてさっきえぐい炎をばらまいてた人とは思えねえ。
そしてそのままバグバグと食べていた時、
「確かにこれ美味しいわね」
と、声がした。
「おい、ルティスだっけ、なんでここにいるんだ?」
「いいでしょ、私がどこにいたって」
「そう言う問題じゃないけどな」
普通に不法侵入だ。看過される問題じゃない。
「それよりも、私はやっぱり諦められない。だからお願い、天界に帰ってきて」
やれやれ、バトルに負けたのにまたお願いか。まさかこれからしつこく来るのか? そうなったらくそ面倒くさいんだけど。
「何回も言ってるでしょ!! 私は帰らない。ここでやりたいことを澄ますまではね」
「なるほど。じゃあ! ここでやりたいことを済ませたら天界に戻ってくるってこと?」
「そうなるねえ」
「だったら私も手伝うわ。あなたの願いをかなえるために」
え? この人も手伝うの?
「いや、別にいい」
別にいいんかい!
「私は雅夫君と一緒にこの世界を見て回りたいの。だからおとなしく展開に帰って?」
「……私は………………ティアのいない天界には興味がないし……ティアが展開に帰るまでここにいるわ」
えー。マジで。この下界に二人の女神がいることになるのか。バランスどうなるの? 俺の知った話ではないけど。神様とか今頃頭悩ませてそう。本当、なんか神様に謝罪したいわ。別にティアがここに来たの俺のせいではないけど。
「もしかして、神様に謝らなきゃとか思ってる? 大丈夫謝らなくても、寛大だから」
「うわ、びっくりした、久しぶりに心読むな!」
「えーいいでしょ」
「最近やってないから、するのやめたと思ってたわ」
「まあ封印してたのは事実だけど」
「てか、寛大とは言え、お前の運がくそ悪いのって、天罰じゃねえのか?」
「流石に違うよ」
「私は違うくはないと思うけどね」
「えールティス、私の味方してくれないの?」
「ええ」
「ひどい」
「別に、ひどくはないわよ。あなたのせいで私は困ってるんだから」
「はいはい」
やばいな。二人の会話になると、途端に気まずくなる。これが、友達の友達とは気まずくなるっていうやつか。ティアにいつもの感じで接することすらできねえわ。全く。
「大丈夫よ。私がいてもいつもの感じでいればいいと思うわ」
「心読むな。でもありがとうな」
しかし、よく見たらこの人も美人だよな、女神って美人が多いのかな?
「セクハラ」
「そりゃあそうなるだろ。女の子の前だったら、それが嫌なら心を読むな」
「雅夫君、それはないよ」
「本当、お前なあ。女神同盟組むんじゃねえよ」
そんな面倒くさい事。一人でも大変なのに二人なんてキツい。
「二人ならキツいのかしら」
「こころ読まないでくれ。まさかティアも今まで心を読んでたのか?」
「たまになら」
「おい!」
「それで、ティアはどんな所に行きたいの?」
「下界の?」
「もちろん」
「それは沢山あるよ。山登りもしてみたいし、海にも行きたいし、あと! 温泉も入りたい。海外旅行もいいねえ!」
「凄くあるじゃない」
そう言ったあと、「これは大変そうね」とルティアが呟いた。あくまでも、彼女はティアを天界に戻したいだけなのだ。
これは俺も大変そうだな。この関係に板挟みにされるし。
「私もついていくわ」
「えー、ルティスはいいよ。面倒くさそうだし」
「何よそれ!」
こいつらやっぱり仲良いな。すっごく仲がいい。こう考えればティアも別にびびる必要は無かった気がする。
「そういえばだが」
「なに?」
「テストとか大丈夫なのか? 特にルティス。来週からテストだぞ」
「私は普通にカンニングするから大丈夫よ」
「あー、ルティスずるー。私もカンニングするー」
「お前はちゃんと解け。魔法に頼るな!」
「えーけちー」
「ケチではねえ」
「でも私だって二週間くらいだよ、流石に無茶だって」
「確かにそれはな」
「だからカンニ……」
「じゃあ勉強会するか」
このままだと二人ともずるしそうだ。流石にそれは見逃せない。
「なんでよ!」
「私はパスだわ。知識なんて、カンニングで十分だもの」
「ダメだ。それは道理に合わん。真面目に受けないなら天界に帰れ」
「私も?」
「ああ。もちろん」
「私は、ただティアを追って下界に来ただけなんだけど」
「いいじゃん、一緒にやろうよー」
「うっ、そう言われると弱いわね」
ん? もしかして俺やっちゃった? 二人に教えることになるのか。そもそもルティスについては俺も仲良くないしなあ。
「じゃあ、早速やろー?」
「え? 今から?」
なんとなくやりにくい気がするんだが。仲良くない女子に勉強をあ教えるのか。ウーム。どうしよう。なんとなくやり方が分からん。
だが、ルティスも案外乗り気だったので俺もやらんとは言うわけには行かず勉強会が始まった。
「雅夫さん! これどうやって解くの?」
「どれどれ」
ティアに教えるのは楽だ。気心が知れてる、だが、
「ここ教えてほしいんだけど」
「ああ、分かった、ここは……」
ルティスに教えるのが本当に難しい。気まずいし。
ティアに教えるのに比べ、本当に難しい。それに俺もそこまで成績がいいわけではないし。
友達の友達に教えるのが一番難しい。
そして、勉強を教えて二時間後、ようやく勉強会が終わった。勉強会をしようとは俺が言ったことではあるけど、本当にしんどかった。
俺がルティスと仲良くなったらこれも楽になるんだろうけど。
「雅夫さんお疲れ様」
「ああ。疲れた」
「何かありがとうね」
「お前がお礼を言うとはな」
珍しいことだ。嵐でも来そう。
「私のことを馬鹿にしてない?」
「馬鹿にしてない。それで勉強は進んだのか?」
「もちろん。それに私たち女神だし、覚えるのは早いよ」
「確かにそうだな」
「でさ、」
「ん?」
「私はあくまでも雅夫さんのものだからね」
「あ、ああ」
俺がルティスに嫉妬してしまうんじゃないかという気持ちで言ったんだろうが、言い方を考えてほしい。勘違いしてしまうかもしれねえだろ。
「今日、楽しかったね」
「まあな。とはいえお前に付き合わされてただけだけどな」
「付き合わされたって言い方悪くない? もっと言い方考えてよ」
「すまん」
「まあ、謝ってくれるんだったらいいけど。それで……今日、同じ布団で寝ない?」
「はあ?」
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