第2話 紀元前1世紀、古代ローマの貨幣・物価
ローマの貨幣は、アウレウス(金貨)、デナリウス(銀貨)、セステルティウス(青銅貨)、アス(銅貨)などがある。これらの硬貨は紀元前3世紀の中ごろから紀元3世紀の中ごろまで使われた。紀元前27年頃から紀元301年頃までの各種硬貨の相対的価値は、日本円(ドル円=100円)で換算すると、
1アウレウス金貨 約500ドル、5万円
=25 デナリウス銀貨 1デナリウス銀貨=約20ドル、2千円
=100 セステルティウス青銅貨 1セステルティウス青銅貨=約5ドル、500円
=400 アス銅貨 1アス銅貨=約1.25ドル、125円
程度になる。
あくまで、この換算はこの物語の設定の紀元前47年頃の相場であって、ディオクレティアヌス帝(在位:284年 - 305年)の頃はインフレが進んでおり、この貨幣価値の5分の1程度にまで下がっていたようだ。
アウレウス金貨は財産として溜め込むための通貨だったと思われる。500ドルの価値では日常の取引には高価すぎてほとんど使われなかった。アウレウス金貨は新皇帝即位にあたっての軍団へのボーナス支払いに使われたようだ。
日本で考えるなら、織豊時代や江戸時代の大判小判は日常生活では使わないだろう。江戸時代のそば屋や寿司屋で大判小判を出されてもお釣りに困るのはローマ時代と一緒だ。また、江戸時代の小判の価値が、初期から明治維新までどんどんと金の含有量が減って貨幣価値が下がっていったのもローマ時代と一緒だ。
直感的に言うと、マルちゃんの赤いきつねのでか盛、136gは、紀元前47年頃では、2アス銅貨ぐらいに相当すると考えれば良い。セステルティウス青銅貨ならば、赤いきつねが2個買える。
庶民の一般的な物価だが、
◯ パン :1人1日分の量、食パン2斤くらい。2アス、約250円
◯ 小麦 :1モディウス(6.3 kg)で12アス、約1,500円
◯ オリーブ油:1リブラ(328 g)で4アス、約500円
◯ 公衆浴場 :1/4アス、約33円
◯ ワイン1 :1アス、約125円、廉価品1杯
◯ ワイン2 :2アス、約250円、上物1杯
◯ ワイン3 :4アス、約500円、ファレルヌス産のワイン1杯
◯ 銀のこし器:90デナリウス(1,440アス)、約18万円
◯ ラバ(雄):130デナリウス(2,080アス)、約26万円
◯ 売春婦1 :低級娼婦、2アス、約250円
◯ 売春婦2 :高級娼婦、8アス、約1,000円
売春が安かった。廉価版ワイン2~8杯で1発できた。
このころのローマ帝国の人口は5,400万人で、そのうち3分の1が奴隷だった。(半分以上と見積もる人もいる)当時のローマ一般庶民の平均年収は、500~1,000デナリウス、約250~500万円程度。
人口の3分の1を占める奴隷の値段だが、紀元1年頃では、
◯ 普通の家内奴隷:500~1,500デナリウス銀貨、20~60アウレウス金貨、約100~300万円
◯ 葡萄園の農業熟練者:2,000デナリウス銀貨、80アウレウス金貨、約400万円
◯ きれいな女性:2,000~6,000デナリウス銀貨、80~240アウレウス金貨、約400~1,200万円
◯ 歌の上手な女性:4,000デナリウス銀貨、160アウレウス金貨、約800万円
という記録がある。軽トラックから高級乗用車の値段だったということ。しかし、車の場合は、なんらかの希少価値でもつかない限り、新車の時が一番値段が高い。しかし、奴隷は、年齢、躾け、訓練、体磨きなどで値段が上がっていく。だが、平均年齢が30年程度なので、奴隷の年齢ピークは短い。21世紀の車と同じで、10~15年程度の中古車ではほぼ無価値になるのと同じだろう。
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