鏡像 表の恐怖
巨大な白クジラは目を覚ます気配はなかった。
「こんなにデカイ異種族を見たのは初めてだ……まだ起きないでくれよ……」
アロガンはずっと近くの岩場に腰を下ろしていたが、落ち着きがない。グシャンは一言も喋ることなく、ただじっと息を殺してアロガンの横に立っていた。
「こっちです!」
しばらくするとグランド率いる町の男たち数人が、カウアドに案内されてやってきた。
「なんだ……これは」
ほとんどの者があまりの大きさの異種族に驚き、恐怖で身を固めている。ひるんで後ずさる者もいた。
「ここから立ち去れ!」
グランドが一歩進み出て、白い巨大な異種族の正面で叫んだ。
「ここから立ち去れ!」
白い巨大な異種族が、グランドの叫び声に反応して目を覚ます。大きな瞼がゆっくりと開いていき、中から巨大な眼球が現れる。皺に埋もれた眼球は、ビカビカと黒い光彩を放っている。体をゆすって男たちを見た。
グランドを除く大勢の者が狼狽え怖気づいた。動転して逃げ出す者もいた。
グランドは再び白い巨大な異種族に向かって叫ぶ。
「ここから立ち去れ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます