第2話 斥候ジョブ

 ギルドマスターとの話を終えて、ギルドの1階へ降りるとC級冒険者パーティーを他の冒険者達が囲んで盛り上がっていた。

 嫌な予感がしたので隠密スキルを発動しようと思ったら、先に見つけられてしまった。

「あ!さっきは本当に助かりました。お名前ベイカーさんて言うんですね」

「ええ、そうです」

「ベイカーさんのジョブ、斥候スカウトなんですね。トラップ対策に秀でた盗賊シーフはよく聞くんですが、斥候スカウトの方は初めて見ました」

「いや、まあ…ダンジョン探索にはあまり向いていないジョブですから」

「あれ?斥候スカウトって言ったら、魔王討伐に挑戦したS級パーティーにも斥候スカウトジョブの人がいたよな」

 周りを取り囲んでいた冒険者の1人が言った。

「俺が聞いた話じゃ、魔王討伐の失敗の責任を取ってパーティーを抜けたらしいぞ」

 他の冒険者が応えると、S級パーティーの噂話でその場は盛り上がって行った。

 僕はその隙にギルドを抜け出すと、安宿へと戻ることにした。


 それからしばらくすると、街には冒険者パーティーを集めたクランが立ち上げられると噂が立ち始めた。

 ダンジョン攻略は、パーティー単位で行うのが通常である。

 手に入る魔物の素材や魔石の量を考えると余程、上級のダンジョンで稀少な戦利品が出るところでないと大人数の攻略では割に合わない。

 例外なのが、新しく発生したダンジョンや今回の様に、既存のダンジョンが異常な変化をした場合の調査攻略である。

 これには参加した冒険者のランクに応じて、ギルドから日当が支払われるので出来高は関係ない。

 最大の目的はダンジョンの危険度調査なので、トップパーティーの損耗を最大限抑えて、ダンジョンボスに到達させる事が重要となる。

 また、冒険者達にとってはめったにお目にかかれない上級パーティーと行動を共に出来るチャンスであり、目立つ働きが出来れば上のランクのパーティーから勧誘される可能性もある。

 街には各地から続々と冒険者が集まって来て、一種お祭りの様な状況になっている。


 僕はと言うと、人がいっぱいいるところや賑やかなのは苦手なので、街の近くの森で植物採取や魔物を倒して生活している…日々の糧は大事だ。

 ギルドマスターからの依頼で時々、ダンジョンの調査へも赴いている。

 まあ、本格的にクランが調査攻略に入る前の予備的なものと、前回の様に功を狙う冒険者が潜っていないか確認も兼ねてであるが。

 

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