主人公(ヒーロー、ヒロイン、ツレ)

ヒーロー

 主人公(男)の立ち位置について。

これはシンプルに男性読者ならびに男性作者本人です。物語のモブの中に感情移入すべきキャラ隠しておくというのは書けないこともないでしょうが、多分すごくひねくれたバランスが狂ったものになるか、作者が途中で方針転換したように見えるかのどっちかです。


 シンプルに、スカッとする側、気持ちいい側を主人公に置いてください。それが作品世界の中でモブ的立ち位置であっても、それが主人公であると作品名でわかるようにします。なお、正義の味方であるか犯罪者であるかはどっちでもいいです。泥棒や海賊、ヤクザが主人公の作品だっていくらでもあります。


 あらかじめ予定してキャラが主役を食うという作品も大作家先生の古典的名作にも存在します。高橋留美子先生のうる星やつらの主人公は、当初しのぶちゃんだったはずですが、ラムちゃんに変わりましたね。どおくまん先生の花の応援団もおそらく当初は富山くんか前田くんが主人公だったはずです。彼らは、大原則に忠実な「読者が入り込める主人公」です。その主役を奪うラムちゃんや青田赤道というのは超人でありおよそ読者にとって感情移入の対象ではありえません。この時代にはまだ異世界転生無双チートというモチーフがなかったのでこの二段階構成が必要だった訳ですな。今、改めてこのテンプレを世に問う時の読者視線になるべき主人公は、やりそうなことが見え見えで行動が読める愛すべきバカキャラがおすすめです。


 今は異世界転生無双チートが物珍しいものでなくなり、もはや共通のスタートラインといえるところまで普及していますので、読者が感情移入するべきキャラクターをそのまま鬼神、超人、怪物にすることが出来ます。


 もちろん異世界転生無双チートに代わる新しいフレームワークが出てきたらこの考えも改めなくてはならなくなるかもしれませんが、今のところ、主人公が想定読者の感情移入先とする設計が楽になる方向に進化しているわけですから、異世界転生無双チートに代わる新しいフレームワークが出てきたとしても基本的に読者が入り込む人物が気持ちいい思いをするという方向性のトレーニングは無駄にはならないはずです。

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