第10話

父は認知症だと嘘をついて、私に何を伝えたかったのだろうか。認知症になって、父が変わったことといえば、よく話すようになったということだ。もしかしたら、父の話の中にそのヒントがあるかもしれない、私は父との会話を思い出しながら、ヒントになりそうなものを考えた。そして、一つ良い案が思い浮かんだ。私以外で父と母のことをよく知る人、私の知らない両親をずっと見てきている人に連絡を取ってみることにした。

「もしもし、矢上ゆり子様のお電話でお間違い無いですか?」

私は、矢上ゆり子と会うことにした。

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