第2話 村へ
さて自分の趣味が『ロリババア』になってしまった記念すべき?日に食料を求めてロリコン博士がお世話になった村に来ていた。
来ていたのだが‥‥廃村だった。
記憶では町の中心に大きな噴水があり村内は石畳が敷かれ石と木で出来たキレイな家が立ち並んでいて、入り口から少し左側の家には好みの幼女が2人も居たし、右の家には何度か誘拐しそうになった幼女がいたハズなのに…
「‥‥なんか寂しい光景だな」
形有る物は何時か壊れるとは言ったが実際に目の当たりにするとズキリと来るものがある。
しかし今の俺に出来る事は無いので心の中で黙祷を捧げ安らかに眠ってくれと祈った後、「失礼すまーす」といいながら食べ物探しを始めた。
「やっぱ何も無いか…」
薄々は気が付いていたがこの村が廃れてからかなり時間が経っている様に思えるのだ。
少し手を付いただけで崩れる壁にボロボロの家具、朽ち果てた家屋がその予想が真実だと物語っている。
どの程度時間が経っているのか気になったが、当時の事が解るものが有れば比較も出来るのだが残念ながら殆どがガラクタだった。
「仕方ない‥‥ここは諦めて他を当たるか」
踵を返し村の入り口に戻ろうと足を踏み込んだ所で地面が消えた。
「は?」
踏み込んだ右足が地面を踏みしめる感覚がなく慌てて足元に目を向けると落とし穴がぽっかりと口を開けていた。
「のわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ドゴォんと鈍い音がして落とし穴に落ちた。
「いつぅ~~~」
背中を強打したのかじんじんと痛むが動けない程ではないので体を起こし頭上を見上げると結構な高さがあった。
「これは…出るのに苦労しそうだな」
高さもさる事ながらネズミ返しの様な構造になっていて下から昇るのが困難な仕様になっていたのだ‥‥
まぁ落とし穴を作った理由はともかく、今は脱出が先決だ。
「こういう時ハシゴとかパッと作れると楽なんだが‥‥材料も道具も無いのに作れるはずもなし。ならば変態のくせに魔法も使える
正直魔法なんて眉唾なので幾ら博士の記憶が有ったとしてもにわかには信じられなかった。あと魔導師にもなれるという謳い文句が余計に怪しい。
「ともあれ試すだけ試してダメなら別の方法を考えよう!」
そう思い、魔法について幼女達に囲まれて天国気分を味わいながら魔法のいろはを教えていた記憶を思い出した。
『いいかい僕の天使達、魔法はね想像によって様々に形を変えるんだ。もし暖かい火が欲しいなら燃える火を想像するんだ』
『うんうん!』
『あぁその笑顔がたまらん!‥‥おっと、話しが逸れたな。しっかりと想像し起こすべき事象を明確にする事で体内の魔力が形を変えて現れる。想像が確かな程魔力の消費は少なく、魔法の強度も高い』
『えー?わかんなーい!せんせーやって!』
『いいぞ、なら今日は氷の猫を作ろうか』
『わーい!ねこさんすきー!』
『先生のことは?』
『んー?フツー』
『そ、そうか‥‥‥』
この時はスゲー凹んだんだよな。
これだけ頼りにされてるのに普通って‥‥魔道具も沢山渡したじゃん!って枕を濡らしたのをよく覚えてるよ。
ってそうじゃなくてつまりイメージが明確な程強い魔法になると。
「なら生前の死因であるピアノ線をイメージして糸使いでも目指そうかな」
そう思いまずはピアノ線が作られる工程をイメージした。
「お?なんか初めてなのに懐かしい感じがする!」
おそらくこれが魔法を使う感覚なのだろう、より強固なイメージになる様に製造工程を想像し、最後に自分を綺麗に輪切りにした頑丈さを想像しピアノ線の様な糸を生成させる。
「では‥‥そーい!」
生成した糸—面倒なのでピアノ線と呼ぼう―を網目状に成型して足場にして登ろうと思ったが…
「うん、このまま上ると手が無くなるな‥‥」
光を反射してキラキラ光るピアノ線を見て力を入れて掴んだ瞬間に指が切れそうな予感がしたので糸で作った網で脱出するのは諦めた。
「次は記憶の通りに氷で足場を作ってみよう!」
氷の塊を足元に出現する様にイメージし魔法を使うとブロック状の氷が出現した。
「おお!これなら安全に出れる!」
何度も生成を繰り返しようやく落とし穴からの脱出に成功した。
「まぁ無事に脱出出来たのは良いが…結局振り出しだな‥‥」
さてどうしたもんかな~と思いながら今度は落とし穴に掛からない様に慎重に歩いていると村の入り口から10人程の世紀末戦士が村に入って来た。
「ユーアーショック!って聞こえてきそうな感じだ!」
しかしいくら世紀末戦士でも人は人だ。なので食べ物を恵んで貰おうと手を振った。
「おーい!おっさーん!食い物欲しい!」
「あぁん?何だガキ?」
するとこちらに気が付いた世紀末戦士がのっしのっしと歩いて来て‥‥突然消えた。
「のわぁあぁ!!」
「あ、あにきー!!!!」
「あ~~意外な場所にあったな‥‥落とし穴」
「‥‥」
「‥‥」
まさかの結末にお互いに無言で佇んでいると穴の中から叫び声が聞こえた
「ガキぃぃぃ!嵌めやがったなぁ!全員あのガキを殺せ!」
「「「へ、へい!」」」
「俺のせいじゃないのに‥‥」
「おいガキ!悪く思うなよ!俺らブラッドパーティのお頭を潰した礼をしてやるぜ!」
「ひゃっはー!」
そう言いながら腰に下げた剣を抜きこちらに走り込んで来る。
「うーん‥‥おっさん達って盗賊って奴?」
「盗賊?そんな可愛いものじゃないぜ?殺し屋だ!…死ね!!」
「ひゃーハハハハハハ!!!!」
「まぁ盗賊なら殺してもOKかな?…うん、博士もOKって言ってるし仕方ないよね!」
謎の言い訳をした後、向かって来る殺し屋さん連中に向かって指先に生成したピアノ線を横薙ぎに払う。
「‥‥は?」
向かって来た4人程がキレイに輪切りになった。
「わーお、流石ピアノ線だ。これは案外行けるかも」
不思議と負の感情は浮かんで来なかった。博士と一緒になったお陰なのだろうか極限状態で神経が高ぶっているだけなのか。
まぁともかく今は考える前に降りかかる火の粉を払うのが先決だ。
「他の連中もバイバイだね!」
今度はピアノ線を遠くにいる殺し屋さんに真っ直ぐ伸ばし鞭の様に首を刎ねた。
スパーンと何の抵抗もなく首や腕や足が飛ぶ。
「うーん遠距離では少し操作性に難が有るが‥‥まぁ練習有るのみだな」
その後もピアノ線の操作‥‥正確に言うなら魔力操作でピアノ線を操り、盗賊を屠って行く。
最後の9人目の殺し屋さんの首をスポーンと飛ばすと、一番最初に戦線離脱した『アニキ』が腕にかぎ爪の様な武器を装備し落とし穴から這い出て来た。
「待たせたなぁ?もう死んだ‥‥か…はぇ?」
「おお!おっさん丁度良い所に!」
「な、なんで?なんで!?」
「おっさん食い物持ってない?」
「そ、そんなバカな!子供相手で‥‥ば、化け物だぁぁぁ!!!」
「あ!ちょっと!ま…」
化け物だー!!!と叫びながら踵を返すブラッドパーティのアニキ。
漸く見つけた食料への手がかりを失い又しても振り出しに戻った事にガックシを肩を落としながらアニキの後を追った。
「くそ!また振り出しだよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます