狐塚にはらむモノ

なつきネコ

序章

 パキ……パキ


 何かを踏み割りながら私は走り続ける。


 走る……!

 そう走らなきゃ。

 あいつから逃げないと!


 ユックリと影のような何かが私に迫ってくる。


「たすけてー!」


 悲鳴をあげても暗い夜道にはは響かない。

 駆けつけてくる者はいない。


 ガシャガシャ……


 何かを踏みつける音。

 

 どうして、こんなに白い枯れ枝だらけ道なのか、わからない。

 おかしい………

 普通の道だったはずなのに。

 

「きゃあ!」 


 足が掴まれる。

 

 ズダン!


 思いっきり顔面から地面に叩きつけられた。


 痛っ!。

 

 こんなに走りにくい道……


 違う!


 これっ!!


 枯れ枝だと思っていたものは骨。

 ……  


 あたりを見渡すと、眼の前にボロボロの社があった。


 小さくてボロい社。

 

 よく神社の横手にある脇社のような小ささな社。

 陶器の狐が並んでいた。


 これは、お稲荷さん。


 気持ち悪い怪物を倒せるのは神様だけ……!


「お願い! たすけてー!」


 答えてくれない……

 

 つつまれて途切れていく……怖い……


 私の声は暗闇にのみ込まれ、私も闇と骨に飲み込まれる。


 食べられる……


 そのまま、夢はとじた……

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