【14】最後の日記


 頭の中の声に命令された。

 それは闇に墜ちた内なる聖女の声だ。

 私にしか聞こえない。

 しかし、私にはその音が聞こえない。

 誰しもが隙間風のような音が聞こえるという。今日の昼間に首をはねた子供も、その音が聞こえると言い残した。虐殺の限りを尽くした傭兵たちも、その音が聞こえたのだという。

 だが、私には聞こえない。

 なぜ、聞こえないのか。

 夢を見た。

 聖女がまるで汚物を見るような目で、この私をめつけている。

 なぜ、そんな顔をするのか。

 貴女の望みは何なのか。

 貴女はなぜ、魔王にくだり、闇へと堕ちたのか。

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