【07】焼け残った日記⑥


 久し振りの日記となる。

 プラレッティによれば、“血被り姫”の子は流れてしまったのだという。噂によれば水子は豚頭であったとされるが真偽のほどは定かではない。“全能の魔女”も病に臥せり、長らく人前に姿を見せていない。

 我が領内でも例の豚頭病ぶたあたまびょうが確認されたらしい。

 サマラが闇に堕ちる事がなければ、そんな病など立ちどころに癒された事だろう。しかし、民は愚かにも、そんな彼女を過去に置き去りにして、仮初めの平和を謳歌おうかしていた。

 これは天罰だ。

 聖女が闇に堕ちるのを止める事ができなかった、聖女を守る事のできなかった、愚か者たちへの罰なのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る