幼馴染がハグを要求するのですが…それ以上は望んでいないみたいなのですが

猫の集会

ハグの先は…

 ふぁ〜あ。

 よく寝た。

 

「やっと起きたの?早く朝ごはん食べてきな。おかあさん茶碗片付かないって言ってたよ」

 

 …

 

 隣に住む幼馴染の麻里香まりかは、よく当たり前のようにオレの部屋でくつろいでいる。

 

 なんなら今も…ゲームを勝手に…って、

「おい、それオレの…まだ途中のやつ…」

「あー、レベル上げしといたよーん」

「どれどれ…って、これ一回やられてんじゃねーかよ」

「はは、どんまい。ってか、は・や・く‼︎朝ごはん‼︎」

 と、手をパンパン叩く麻里香。

 

 …うちのかあちゃんそっくりなんっすけど。

 

 

 幼い頃からずっと一緒だったから、部屋に出入りは、当たり前状態。

 

 だけどさ…寝てる時来るのって反則なんじゃね?

 

 一応…寝顔見られるのって恥ずいよねー。

 

 

 そうこうしている間に朝ごはん終了。

 

 さてさてと、

「レベル上げご苦労」

「うん!じゃあお礼をくーださいっ‼︎」

 

 両手を伸ばす麻里香。

 

 ギュ〜っ。

 

 なぜか麻里香は、お礼にハグを要求してくる。

 

「なー、なんでハグなの?オレにギュ〜して欲しいってことは、オレのこと好きなんでしょ?ならいっそ…」

「付き合わない‼︎」

 

 …なぜだ?なぜハグを要求しておきながら…

 

 オレは麻里香と付き合いたいよ?

 なんで麻里香は、ハグオーケーなのに…付き合ってくれないのだろうか…。

 

 あ…麻里香まさか…

 

「なー、麻里香って…単にオレのからだが目当てなんじゃ…」

「は?そんなわけないじゃん。ってか、ゲーム終わったしそろそろ帰りなよー?」

 

 …

 

「いや、ここオレの部屋ね。」

「ね!じゃあわたし、いったん休憩するわ。おやすみー」

 と、あっという間に眠りについた麻里香。

 

 しかも、オレの布団で…

 

 …なんなんだ

 

 てか、ほんとなんなの⁈

 

 …

 

 焦らしプレイ?なわけ?

 

 

 もうここは…

 ここは、賭けに出るか。

 

 

 オレは息をすぅーっと吸って大きな声で

「王子様は、キスをしてお姫様を眠りから目覚めさせましたっ‼︎」

 といい麻里香にキスをしようとした。

 

 …麻里香は、もう完全に起きてる。

 

 表情で丸わかりだ。

 

 ここでキスを止められたらオレへの気持ちはゼロだろう。

 

 そして、少しづつ麻里香に近づいて…

 

 します‼︎キス…します‼︎の目前で

「お姫様は、自力で目覚めましたー」

 と…麻里香がストップをかけてきた。

 

 …やっぱり脈なしでしたか。

 

 

 それから数ヶ月。

 

 相変わらずなオレたち。

 

 

 オレは麻里香に冗談を言ってみた。

 

「オレさ、彼女できたんだ」

 ってさ。

 

 そしたら、麻里香は…

 

 ゲームを一緒にしていたんだけど、急用を思い出したって言って帰っちゃったんだよね。

 

 …オレの彼女できたんです報告、どうでもよい事件…勃発です。

 

 …

 

 それから数日後、いつも休みの日にやってくる麻里香がいらっしゃいません。

 

 …きっと彼女ができたって報告したから、その彼女に遠慮しているのだろう。

 

 いや、あのー…ほんとは彼女できてないし…架空の彼女なんです。なんて言えず…

 

 幼馴染は、遠ざかり彼女もなし…。

 

 

 オレはアホですか?

 

 …ですね。

 

 

 そんなアホなオレは幼馴染の麻里香に、ほんとは彼女いないから今まで通りに遊びに来ていいよ!と言いに行くことにした。

 

 

 で…

 

 麻里香の部屋に行くと…

 

 完全にいるくせに居留守…

 

 

 コンコン

「あけていい?」

「ダメです。留守です!」

 と。

 

 …

 

 留守じゃないよね⁉︎完全にさ…

 

 

 ならば、

「お届け物でーす」

「頼んでません。」

 

 …

 

 そうなりますよね。

 

 ならば、

「あっ、ねこ‼︎なんでこんなとこにー⁉︎かわいいー‼︎」

 

 ガタガタ

 

「えっ、どこ⁉︎」

 

「オレだよ〜、にゃ〜ん」

 

 …

 

「は?帰れ!今すぐに帰りたまえっ‼︎」

 

 ドアをしめようとする麻里香に、

「ごめん、お詫びに今からゲームしよう?」

 と誘ってみた。

 

 すると、

「彼女とやりなよ…。わたしは、恋なんて絶対にしないんだから。」

 と寂しそうな表情をするじゃん。

 

「いやいや、その彼女もさ…実は、い…」

 

 いないって言おうとしたら麻里香は、

「ごめんなさい」

 と言いながら泣き出した。

 

 ⁈

 

 どうした?

 

「麻里香?」

「わたし…付き合わないって言ったのね、あれ本心じゃなかったの。ほんとはずっと利斗りとがすきだった。でも…簡単に物って手に入ると大事にしないって聞いたことあって…」

 

 …物って。

 

「麻里香…」

 

 オレは麻里香をギュ〜っと抱きしめた。

 

「えっ、ちょっと…彼女いるんじゃん。そんなギューされたら……さ…そんなんされたら…」

 とオレに抱きしめられながら泣く麻里香。

 

「麻里香、ごめん。」

「ううん。悪いのは、わたし…。大切にされたくて…だからほんとは、付き合いたいくせに付き合わないって言って…結局大切なものを失って…。わたしバカだなぁ」

 

 

「麻里香、オレ彼女いない。ごめん…この前の冗談。オレ、麻里香を大切にする。だから、もう冗談でも泣かせることしないから…だからオレと一緒になろう。」

 

「え、ほんとに?ほんとのほんと?」

 

「うん。ほんとだよ」

 

 じっと麻里香は、オレを見つめた。

 

 そしてオレたちは、吸い寄せらるように唇を重ねた。

 

 

「王子様、わたし目を覚ましました。これからは、愛にいきます‼︎だからもういっかいキスしてください。」

「もちろん。お姫様のためなら何回だっていたしますよ。」

 

 チュ〜♡

 チュ、チュ、チュ〜

 

 王子様は、お姫様のためと言いながら自分がたくさんキスしたいだけだったのです♡

 

 

 おしまい♡

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