容姿にまるで自信のない公爵家令嬢エミリー・オブライエンは、それはもうかわいらしい男爵家令嬢アリアナの猛アタックを受ける婚約者フィリップ王太子に婚約破棄されるのだろうと覚悟を決めていた。なのに、いざ王宮へ赴いてみれば、王太子は彼女との結婚を高らかに告げたではないか! 波乱しかない愛と恋の物語がここから始まる!
王道の婚約破棄から始まる物語……ではありません! 常識と良識を弁えたエミリーさんが、幼稚だけれど一本気なフィリップさんや、礼儀も仁義もぶっちぎっていながら憎めないアリアナさんと丁々発止しつつ結婚というゴールへ向かう恋愛劇なのです。
仕上がっているのですよね、キャラクターが。それぞれにおかしくて、でも要所ではこの上なく輝いて。思わず全員好きにさせられるのですよ。そしてそれを綴るエミリーさんのテンポのよい語りも相まって、読み始めからもうわくわくが止まりません。
コミカルもシリアスももれなく楽しい、極上のキャラクター小説です!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋剛)