第二十一話:日本人は学びを得る人間だ。
早朝を過ぎ、カタナとヤイバ、
「彦火火出見の提案によって彦五瀬命・稲飯命・三毛入野命ら兄弟たちや諸臣と共に東征へと赴いたが、長髄彦との戦いにより、彦五瀬命は命を失い…」
黒い長髪と瞳を持ち、眼鏡をかけた担任の男性教師である『
(ヤイバ、助けて! 朝から対面した時から
(お前が初対面の時に佐々木小次郎に負けたとか言うからそれを根に持ってるんだよ。)
「カタナさん、次の文章を読んで下さい。」
「あっ!? はい! えぇと、長髄彦との最後の戦いの際、金色の霊鵄が現れて、その鋭い輝きに彼の軍は降参をし…」
「それはもっと後のページなのだが?」
「はっ!? あっ、すみません!」
ページを間違えたカタナは周りから笑われてしまい、顔を赤く染めた。
そして、後ろから
(今日の昼休み、ろ号館の校舎裏に来い、先程の侮辱についてだ。)
(はっ、はひ…)
その昼休み、ろ号館の校舎裏にて、
「どうも! すみませんでした!」
カタナは
「校門前で失礼な発言をしてしまい! 貴方様のご先祖様を侮辱してしまい! 誠に申し訳ございませんでした!」
その有様を見た
「どうやら貴様には意地や誇りだというものが足りないらしい。面を上げろ、楽にしろ。」
「ふぅーー、ありがとうございます。私もあんなことは言いましたけど、五輪書を愛読しています。本物の宮本武蔵の御子孫に会えて、光栄です。」
カタナは握手しようと手を差し伸べるが、
「勘違いするな、今は許したつもりはない。貴様が大和に列なる者なら宮本の誇りをかけて、意地でも許すつもりはないからだ。」
「大和家と宮本武蔵には何か因縁があるんですか?」
因縁を聞かれた
「私には尊敬する兄、宮本
懐かしさに口元を緩ませた
「だが、我が兄は大和津流義に敗れた責任を伴って、宮本家の世継ぎを辞退した。そこから兄は自堕落に変わってしまった。」
「ヤイバのと
「それ以来、私は大和家が憎くて、仕方なかった。例え、それが八つ当たりでも、兄を貶めた奴の血筋だけは許さなかった。そして、奴の弟である大和弥威刃も許しはしない。」
「ちょっと待って下さい!? 何で、ヤイバも巻き込むんですか!? 例え、弟でも、ヤイバは関係ないんじゃ…!?」
狼狽えるカタナに対し、
「大和弥威刃はわざと負けた! この私との決闘を汚してまで!」
「えっ…?」
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