夫婦で買物したら、スーパーマーケットで窃盗犯扱いされた話

七倉イルカ

第1話 始まり


 昨年の話である。

 近くで新しく開店したスーパーマーケットに、夫婦で買い物に行った。

 一通り買い物を済ませ、買い物かごを乗せたカートを押してレジへ。

 レジ係は四十代ぐらいの女性で、胸には『研修中』のプレートがありました。

 レジ係の女性がバーコードの読み取り作業を繰り返し、購入した商品の最後の一点も終了。

 「5555円になります。

 奥の2番でお支払いをお願いします」

 【金額は適当です。2番も適当。実際は24番かそのあたりだったけど、ややこしいので2番と言うことで】

 そう言われて、私たちは、カートを押して2番の支払機にまで移動し、現金で支払いをすませました。


 ここまでは、本当に日常の光景。

 今、読んでいる方も、うん。最近のスーパーは、そういう感じが多いよねと同意してくださる方が多いと思います。

 で、支払い後にレシートを取って、さて、商品をエコバッグ詰めるために、サッカー台へ移動しようとした時、隣の1番支払機でピピピピピピと甲高い電子音が鳴り始めました。

 ちなみに、レジに近い支払機が、メインの1番支払機。

 私たちが支払いをしたのが、その横、レジの位置からすれば、奥に当たるサブの2番支払機です。

 横で電子音が鳴ったから驚いたけど、私たちとは関係ないので、そのままサッカー台へ向かおうとしたら、

 「ちょ、ちょっと待ってください!」と、レジ係の女性に呼び止められました。

 ああ、勘違いしてるなと思い。

 「鳴ってるのは、1番だよ」と返し、サッカー台へ行こうとすると。

 「いや、待ってください。待ってください」と、半分パニックで、目を剥いて私たちを制止する女性。

 電子音が鳴っているわ、レジ係が叫ぶわで、周囲のお客さんたちも、こちらを注目してきます。


 (ああ、もう面倒だな)と思いつつ、レシートを持ってレジに移動しました。

 「さっき、あなた、5555円で、支払いは奥の2番でって言ったよね。

 ほら、これがレシート。

 2番で支払ったから。

 カゴの中の商品も、ほら、レシートと一致しいてるし、確認してもいいよ」

 もう、マジで冤罪じゃねえかと、やや大きな声で周囲の人々に聞こえるように説明。

 ところが、レジ係の女性は、ロクにレシートと商品のチェックもせず、「いや、あの、困ります。待ってください」と言った後、

 「すみませーーん、〇番レジお願いしまーす!」と、サービス・カウンターに応援を求め始めました。

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