ネーブルマーマレードジャム。

猫野 尻尾

第1話:河川敷にいた女の子。

マルチバースとは現実世界とは別に存在する複数の宇宙のことを言う。


マルチバースにはありとあらゆる種族がいてその中にスキャリーと言う

天使でもない悪魔でもない、ましてや妖怪でも幽霊でもない種族がいた。

人間から見ると謎の生物。

まあ、見た目は人間の女性とさして変わらないビジュアルを持っていた。


女性としてと言ったのはスキャリーは基本女性しか存在しない。

だから年頃になると他の世界に異性求めて旅に出る。

そして相手の男の願いを叶えてやる代わりにその都度、男のエナジー

「性気・活力」を吸い取るらしい。


しかしながらこの行為は人間の世界では生行為に値するため普通の男は

その快感から逃れられなくなる。


だがスキャリーは相手が死ぬまで一気にエナジーを吸い尽くしたりするような

そんなバカなことはしない。

基本的に男性が対象なので女性は相手にしない。


毎回、俺の名前は・・・で始まる、それがしの小説。

今回もそのパターン・・・芸がないのは今更承知。


ってことで、俺の名前は「吉行 来よしゆき らい」高校二年生の17才。


俺は登校、下校時、毎日、代わり映えのしない河川敷の土手をチャリで

高校へ通っている。

下校時には野球少年やサッカー少年が走り回ってる姿を横目に帰る。


今日も下校時、その河川敷の土手を自転車でちんたら走っていた。

うん、いつもと代わり映えしない風景・・・・と思いながら通り過ぎようと

したら土手の芝生の上に女の子らしい人が座っていた。


目には止まったけど、特に珍しい光景でもないし・・・女の子なんて

普通にどこにでもいる。


だから、なにげな〜く、その場を通り過ぎた。

通り過ぎてから、あれ?・・・と思って振り返った。

今の人・・・やたら耳が長くなかったか?そう思った。


なんでも普通と違ってることが、やたら気になる性格の俺。

引き返して確かめてみたくなった。

声をかけずにね・・・そ〜っと・・・。


後ろからよ〜く見たら、やっぱり耳が長いってかとがってる・・・。

つけ耳?・・・そうだよね、最近そんなイヤホンあるみたいだし、ああ

たぶんそうだと思った。

でも、髪の色、オレンジだし・・・これもまあ珍しくないか。


そんなことに気をとられていたら、その子に気づかれた。

まずいと思った。

変質者だって思われるとやっかいだから・・・ここは知らんぷりか?


その子のほうを見ないようにして自転車にまたがろうとしたら、ペダルに

足がうまく乗らなくて自転車ごと立ちゴケした。


「いって〜」


ガッシャーンってすごい音がしたから、めちゃ恥ずかしかった。


「大丈夫?・・・」


「あ〜いや、はは・・・カッコ悪う〜・・・クソッタレ」

「すいません、なんでもありませんから・・・おかまいなく〜」

「どうぞ遠くを眺めててください」


ちゃんとその子を目にしたら、めちゃめちゃ可愛いじゃん。

まじ俺のタイプ・・・そうじゃなかったら知らんふりして目もくれないで

家に帰っていただろう。


「私の後ろにいたの分かってたんだけど・・・なに?・・・私に用?」


「いえ、そういうわけじゃ?」


「あんた人間の男だよね?・・・ここどこだか分かる?」


「河川敷ですけど・・・」


「そ?」


「君、その耳本物?・・・なわけないよね」


「本物だよ」


そう言ってその子は自分の耳を引っ張って見せた。


「あ〜・・・そうなんだ・・・もしかして人間じゃなかっ他りして?」


「だね」


「誰?、君、なにもの・・いったい誰?」


「私はスキャリー・・・名前はネーブル・・・ネーブル・オレンジ」


「ネーブル?・・・俺ネーブル大好物、あればあるだけ全部食べちゃうくらい」


「あ、俺は吉行 来よしゆき らい

らいって呼んで」


「ところでスキャリー?・・・」


「合ってるよ」


「ってなに?」


「ナイトメアのことをそう呼ぶらしいよ・・・」


「ナイトメア?・・・さらに分かんないんだけど・・・なにそれ?・・・」

「分かりやすく言うと、男の夢の中に現れる夢魔のこと」

「闇の女神ともいう」


「え?え?え?・・・闇?・・・女神・・・そんな人なの?、君」

「もしかして悪魔かなんか?」


「違うけど・・・天使でも悪魔でも妖怪でも幽霊でもない種族」

「じゃ〜神様とか・・・あ〜女神様とか?」


「違う・・・たぶんこれまでスキャリーに会ったって人間はほんの少しだと

思うけど・・・。」


「で?なんで河川敷になんか座ってたの?」


「ああ〜気がついたら、ここにいただけ・・・」


シモーネ?と名乗った子は、その子は自分のことを闇の女神だって言った。

耳が尖がっるそんな人間はいない。


そう言うのはファンタジーに出てくるエルフだけ。

それでも現実のキャラじゃない。


スキャリーって、ネーブルってまったく新しいキャラなんだ。


つづく。

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