第32話 禁断の鏡

 小さな村に、美しいが噂される鏡が伝説として残っていた。その鏡は魔法によって作られ、見る者の願いを叶えると言われていた。だが、一つだけ恐ろしい伝説が付随していた。


若き日のシャーロットという娘が、村の子どもたちと一緒に遊んでいた。彼らは村の片隅にある古びた屋敷を見つけ、中に入ることを決めた。そこで彼らは美しい鏡を見つけた。


その鏡は古びた枠に収められ、光を浴びると神秘的な輝きを放っていた。シャーロットは最初にその鏡を見ることになり、自分の願いを口にした瞬間、鏡の中で異なる姿の彼女が映し出された。


それは彼女の望む理想の姿であり、シャーロットはその美しい姿に夢中になった。しかし、鏡の中の姿は彼女の行動を真似て動き、シャーロットと入れ替わることを望み始めた。


夜が訪れると、村は異変に気づいた。シャーロットの元の姿は鏡の中に閉じ込められ、代わりに鏡の中の者が解き放たれていた。それはシャーロットの影が実体化したような存在で、村に奇怪な現象をもたらし始めた。


村人たちは急いで鏡を隠し、封印しようとしたが、鏡は逆にその者を引き寄せてしまった。そして、村はその存在によって呪われ、不気味な光に包まれた。


シャーロットは鏡の中で永遠に囚われ、彼女の元には願いを叶えた美しい姿が永遠に続く鏡として残された。村はその日以降、誰もが鏡を避け、その異次元の美しさに誘われないようになった。


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