24位・「麦の海に沈む果実」恩田陸

 文芸別冊「恩田陸 白の劇場」というムック本の中にある恩田陸全著作ガイドの「麦の海に沈む果実」の項目で、「主人公・水野理瀬がファンからの人気が高い」と紹介されていた。

 恩田陸の他の小説にも、この水野理瀬が登場するようなので手に取ってみた。


 あらすじは「三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語」とのこと。


 この「全寮制の学園」は閉ざされた陸の孤島で、一つの学校を舞台に密室劇が終始行われているような小説だった。読み味は魅力的なキャラクターたちが多数登場する少女漫画っぽくて読みやすい。

 けれど、今の少女漫画を基準に読み進めていくと、最後に梯子を外されるような展開が待っていた。この結末を踏まえて「主人公・水野理瀬がファンからの人気が高い」のかと思うと、小説というコンテンツが如何に自由かと前向きな気持ちになった。

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