四半世紀前の馴れ初め噺 事実は小説より奇なり!? チャットで知ったあの子はまさに理想だった?
🗡🐺狼駄
第1話 じゃあ探してみっかっ!
俺の名は雅樹(仮)27歳独身のとあるシステム系会社に再就職したばかりの冴えない男である。
時は20数年前に遡る。
車友達等と1台の車に4人乗り合わせでイベントに出掛けた帰り道。既婚者で一回り歳の離れた人が一言煽ってくれたお陰で歯車が回り始める。
「車の話も良いけど浮いた話の一つでもないのか?」
これには弾んでいた会話を止めて、思わずぐうの音も出なくなった。4人のうち独身なのは確か自分だけだったと記憶している。
名前こそ挙げなかったが俺を狙い撃つぜっ! されていることは火を見るより明らかであった。
俺はこの人生において彼女がいた期間は皆無だ。とにかく押しが弱いのか「雅樹君って何で彼女出来ないんだろうね」と好意を寄せている女友達にグサッ! とトドメを刺される様な存在であった。
一応名誉のために告げておくが断固DTではない。
成り行きとはいえスナックの
新卒で入社した会社を辞め、1年半バイト生活をしていた俺は、その間に生活水準を下げることが出来ずに消費者金融で借金を作ってしまった。
再就職後は生活費を削り、毎日手弁当でセコセコと返済していたので彼女を作っても、でデート代も払えやしないと思っていた。
けれど友人の煽りに一大奮起っ! かなり大袈裟だが出会いを探そうと決意する。会社での出会いが絶望的な状況だったので他に求めるしかない。
この頃はいわゆるインターネット創成期で、22時から始めるテレホーダイ時間帯にピィッガァァッって、モデムで繋いでいた時代だ。
今程出会い系サイトなんてなかったもののホームページに、ただ掲示板やチャット板を置いて、"お話しようよ!"的なサイトなら山程あった。
その中でも特に〇葉県の人集まれっ! っていうチャット板を見つけ、俺はちょくちょく覗いては書き込んでいた。
……とは言え、そこから「いざ会おうっ!」に辿り着くことは稀。そもそもチャットなのに話し相手がいない夜の方が多かった。
確かに3月後半……間もなく今年の桜が開くという最中、
しかもご丁寧にメルアドのリンクが貼られているではないか。加えて邪魔者がいなかった。奇跡と言って差し支えない。
雅樹(チャット)「初めまして。良かったらお話しませんか」
緊張の第一声、昔のインターネットは今の人に語っても信じて貰えない程にレスポンスが遅く、送信ボタンをクリックしてから、自らの書き込みが画面に反映される迄数十秒掛かることも珍しくない。
「頼むからまだ向こうにいてくれよ……」
自分の書き込みが反映されたのを確認すると次は向こうの返答待ちだ。これで終わっても珍しくはない。緊張の面持ちでそれを待ち続けた。
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