プロローグ
僕は今、主人公の幼馴染であり恋人のライカの腕を掴んでいる。
そんな僕を主人公のアイクは横から殺気を視線に込め睨みつけている。
それはそうだろう、自分の彼女がどこぞの馬の骨とも知らない男に腕を掴まれているのだから。
でもね…アイク…君の覚醒のために必要なことなんだ。
だから…許して。
僕はアイクに睨まれたまま、ライカを真っ直ぐに見つめる。
「ライカ! いっぱいオカしてあげるから! 僕のお部屋に来て一緒に遊ぼ!」
「おいっ! どういうことだよ! 人の彼女に手ぇ出してんじゃねーよっ!―――」
横でアイクが僕に怒鳴りつけているがフル無視しよう。よし! 言い切ったぞ!
後はこのまま僕の部屋に直行して夜通し遊び尽くせば僕の役目はほぼ完了だ!
僕はライカを部屋に連れていくために後ろを振り返り歩こうとしたが……。
あれ?進まない!? んぐっ! ん~ぐっ! だ、ダメだ! 全く動かない!
僕がどれだけ足を踏ん張って歩こうとしても、ライカが石像の如く足に重心を置いているため、連れて歩くことができずにいた。
ど、どうしよ!?
このままで物語の展開通りにならな―――。
瞬間、僕はライカに引っ張られ抱き締められた。
「へっ?」
「ら、ライカ!?」
僕は余りに突然な出来事で素っ頓狂な声を出し、アイクは目を見開きながらライカに向かって叫んだ。
しかし、次第に僕は冷静さを取り戻し状況を整理した。
うんうん。僕の胸に押しつけられている圧迫具合からして…ライカのおっぱい大きい!
…っじゃなくて! どういうことなの!? 何でライカは僕に抱き着いてるの!?
僕がライカの突如の奇行に心の中で文句を言っていると、耳元に熱を帯びた吐息がかかりこう囁いた。
「―――いいよ? た~くさん私を犯して、あなたの子を私に孕ませて…ね?」
「………」
「ライカ~~~~っ!!」
僕は無表情かつ虚ろな瞳でただ前を見つめ、アイクは膝から崩れ落ち泣き叫んだ。
だが、僕は表情にこそ現れていないが、心の中では滅茶苦茶焦っていた。
知らない知らない知らない知らない! こんな展開知らない!
えっ? だって…えっ? 僕の知っている展開だとライカは嫌がって泣き叫んでいたのに……。
しかも…泣き叫んでるのアイクだし…。
ってか! 何でライカは容認してるの!? 何で喜んでるの!? 拒絶してたでしょ君!? おかしいよ!?
こんな展開もライカも……僕は知らない……。
それじゃあ僕は……この世界での役目を果たすことができなかったってこと?
主人公であるアイクを覚醒させることができないってこと?
ということは―――この世界で一体誰が魔王を倒すの!?
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