第2話

「先輩。うっす。」

「お、志木。おはよう~。」

 志木が俺の顔を覗き込む。

「な、なに…?」

「先輩、どうだったんすか?」

「どうって何が…」

「だから、プロポーズ。先輩、3年目の記念日に彼女にプロポーズするって息巻いてましたよね?」

志木のやつ、今、わざと声をデカくしたな。

「泉日。お前、やっと、告白したのか。」

 志木の何倍も声がデカい、先輩がやってきた。

 だから、俺もその何倍もの声で言い返してやった。

「告白じゃないです。プロポーズです。ちなみに、彼女の答えはYesでした!」

「ヒューヒュー!!」「幸せになれよ。」「結婚式いつ?」「おめでとう。」「彼女に似れば、可愛い子ができるな。」「先輩にまさかの嫁さんが…」

仕事仲間の歓声とからかいと応援が狭い休憩室に満たされていく。

「彼女の名前、なんだっけ?まな?」

「違います。真理です」

 俺は小さい頃に見た未成年に主張というテレビ番組みたいにして彼女の名前を叫ぶ。

「そっか。じゃあ、泉日真理と泉日滉だな。言い名前だな。」

「でしょ。でしょ。俺の彼女は最高なんで。」

 有頂天な俺は先輩に向かって、ピースする。

「おっ、いいな。皆で泉日の門出を祝って写真でも撮るか」

 皆がわらわらと自分の回りに集まってくる。

「志木、掛け声頼む」

「ん~じゃ、行きますよ。彼女ほしー」

志木は、最後のところだけやけに快活に言う。

「えっ、なんだよ。それ」

「冗談っす。じゃ、もう1発。」

「泉日先輩、おめでとうございます」

 カシャ

 カシャカシャカシャ

「いや、先輩、写真何枚撮るんですか?」

「だって、たくさん撮らないとだろ?」

「別にいいですって」

「よし、こんなもんか」

「後で、送るな」

「あ、ありがとうございます」

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