第47話 裏切り者

 今僕はストーカーの気分だ。


 いやあるいは探偵かな?


 今僕はソルメイスを尾行している。


 僕はカッコよく捨て台詞を吐いて姿を消したフリをした。


 一緒にソルメイスの母国であるラノール王国に入国するといろいろ面倒なことが起きるかもしれない。


 それを考慮してあえてひっそりと入国しようと思う。


 ソルメイスにバレないようにできるだけ気配を消す。


 魔力をゼロに等しく制御する。


 一定の距離を保ち、木陰に隠れながらソルメイスを尾行する。


 ソルメイスが魔物に遭遇しなければいいのだが……


 もしソルメイスが魔物に遭遇したら申し訳ないが自力でなんとかしてもらうしかない。


 僕が倒すことはできないからね。


 あと、日が暮れる前にラノール王国に行けるといいな。


 野宿は絶対に嫌だ。


 1人ではね。


 頼むよソルメイス!







 

 

 「失礼します、ギザラン様」


 大魔王ギザランの秘書的な立ち位置のマレーヌがギザランの王室へと入った。


 「マレーヌか、ご苦労」


 大魔王ギザランは労うように言った。


 「この度ご報告が2つございます」

 「ほう…聞こうか」


 大魔王ギザランは作業をしていた手を止めた。


 「まず一つ目ですが、魔王アムラ、魔王ガラガイン、もうすぐにラノール王国に到着致します」

 「そうか…では予定通りアムラと、ガラガインはラノール王国に着き次第に攻撃を開始しろと連絡してといてくれ」

 「畏まりました」


 「そして、もう一つのご報告ですが……」

 「………例の内通者の件か………」


 ギザランは見透かした目でマレーヌを見て言った。


 「はい………内通者と思われると人物を特定致しました……」


 マレーヌは声を少し震わせて言った。


 「ほう……一体誰なんだ?」


 ギザランの冷酷な眼差しがマレーヌに向けられる。


 「内通者は………クラキです」

 「………………たしかなんだな?」


 ギザランは殺気混じりの目線はマレーヌを萎縮させる原因となった。


 「はい……たしかです……」

 「そうか………わかった…」


 ギザランから殺気は無くなった。


 その代わりに悲観した。


 「私は悲しい……戦争に共に戦う同士から裏切り者が現れてしまうことに…」

 「………ごもっともでございます…」


 マレーヌはまだ萎縮しながら言った。


 「クラキのエリアに兵を向かわせますか?」

 「いや、クラキのことだもう無駄だろう」

 「わかりました…」

 

 「……残念だ、クラキ……」


 ギザランは小さく呟いた。





 

 


 とても嫌な予感がした。


 俺の予感は大抵当たる。


 確率でいうと90パーセントは予感通りになる。


 多分だが、あと一週間以内に俺が人間に情報を流していたことがバレるだろう。


 だから早いうちにおいとまさせてもらおう。


 俺が人間に情報を流すにあたっての条件は2つだ。


 1つ俺は戦争に参加しない・攻撃をしない。


 人間は俺に絶対に攻撃をしないことを約束してくれた。


 俺とって嬉しい条件だ。


 戦争なんてデンジャラスなことに参加など誰がしたい?


 俺は何故だか魔王という立ち位置いてしまっている。


 人間と魔人の大戦争が始まれば強制的に戦場に行かされることになるだろう。


 それだけは死んでも嫌だ。


 俺は死にたくないし、気長に生きたい。


 なにより面倒だ。


 そして2つ目の条件。


 それは人間のエリアの領地の譲渡、城の建設

だ。


 当然俺がスパイだとギザランにバレれば俺は捕らえられ、最悪処刑される。


 だが人間のエリアに入れば多少なりとも安全だ。


 そして、俺は城もおまけで建ててもらった。

 

 俺の夢には城は必須だからな。


 んな訳で俺は人間に情報を流すスパイになったのだ。


 俺は別にどちらの味方でも敵でもない。


 ただ俺にとって都合の良い方に乗るだけだ。


 俺は別に人間に憎悪とかはないからな。


 さて、そろそろ逃亡するか。


 逃げる前に1つ寄りたい場所がある。


 ある者を俺の手下にしたい。


 理由は単純に俺の好みだったからだ。


 あと洗脳するにはちょうど良かった。

 

 ただそれだけだ。


 俺はそいつに接触したのだった。



 キャラクター紹介

 クラキ

 魔王の1人。見た目はザ、大人オブ大人らしいサラリーマンのよう。自身は戦争に全く興味はなく、ただ自由気ままに生きたいと思っている。彼に口論で勝る者はいないだろう。


 話終歌

 嘘も信じされば真になる。

 真も疑えさせれば嘘になる。

 この世に本当などない、この世は嘘でできている。

 クラキ


 


 


 


 


 



 


 


 

 

 


 


 


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