第2話 身を寄せ合う三人

勇気に満ちた心と決意に輝く瞳で、ライラは住み慣れた魔法の庭を飛び出し、彼女の人生を永遠に変える冒険の旅に出た。彼女は村の趣のある通りを歩き回り、一歩一歩、家から離れ、未知の世界へと近づいていった。


賑やかなマーケット広場を通り過ぎると、季節外れの寒さをしのぐために厚いマントに身を包んだ町の人たちが好奇のまなざしを彼女に向けた。彼らはライラを植物に話しかける物静かな少女として知っていた。しかし今日、彼女はこれまでに見たことのない目的を持って歩いていた。


ライラの旅はウィスパリング・ウッズの端まで続き、そこには背の高い古木が茂り、その葉は過去の秘密を囁いていた。森の奥へ進むにつれて空気は冷たくなり、鬱蒼とした樹冠の下は薄暗くなった。


突然、ライラは背後でざわめきを聞いた。振り返ると、木の陰から明るくいたずらっぽい目が彼女を見つめていた。それは風の精霊ゼファーで、いたずら好きでなぞなぞが大好きなことで知られていた。


「ヴェルダンティアの娘ライラ、どうしてささやきの森に来たんだい?」ゼファーはそよ風のように軽やかな声で尋ねた。


ライラは興奮と恐怖で心臓を高鳴らせながらも、さきほど体験した庭の桜との感覚を安定した声で答えた。


ゼファーは彼女の周りを回り、葉が渦を巻いた。「確かに崇高な旅だ。しかし、その道は危険と謎に満ちている。あなたに続ける勇気がある?」


ライラは頷き、決意を固めた。「そうしなければなりません。私の王国のために、この呪いをささやく桜のために」


ゼファーは目を輝かせて言った。「わかった。 だが、君には助けが必要だ。これは一人旅ではない。ついてきなさい」


ゼファーは森の奥深くへと進んだ。ライラも後を追った。二人は太陽の光は地面にほとんど触れず、空気は松と土の香りに満ちていた。


数時間後、二人はツタに覆われた古いコテージが立つ空き地に到着した。ゼファーはライラに中に入るように促し、この中に彼女の探求の味方がいると約束した。


ライラはきしむドアを押し開けると、コテージは外から見るよりも暖かく、魅力的だった。燃え盛る火のそばに座っていたのは老女で、髪は外の雪と同じくらい白く、目は鋭く、物知りだった。


「ライラさんですね」老女は優しくも威厳のある声で言った。「私はタリア、ヴェルダンティアの古代魔法の守護者です」


ライラは、この女性が持つ力に気づき、慎重に近づいた。そして勇気を振り絞って言った。「私の庭の桜の木が呪いのことを教えてくれました。私はその呪いを解いて、季節のバランスを取り戻したいのです」。


タリアはうなずき、鋭いまなざしを向けた。「あなたの仕事は危険ですが、あなたの心は真実です。呪いを解く鍵は、眠り姫を目覚めさせることにあります。」


「眠り姫?」 ライラは畏敬の念を抱いた。


「そう、彼女の目覚めは終わりなき冬の終わりを告げる。でも、彼女への道は試練と苦難に守られています」タリアが説明し、彼女の目が揺らめく炎を映し出した。


ライラは深呼吸をし、決意を固めた。「私はどんな試練にも立ち向かいます。ヴェルダンティアを救わなければならない」


タリアは安心させるような微笑みを浮かべた。「それなら、私の指導とゼファーの援助を受けましょう。一緒に、これからの旅に備えましょう」


ライラ、タリア、ゼファーの三人は身を寄せ合い、ライラを未知の危険と想像を絶する冒険へと導く旅の計画を練った。


こうしてライラは、年老いた守護者と遊び好きな風の精霊に見守られながら、古代の魔法と土地の秘密を学び、修行を始めた。彼女はもはや植物と話す少女ではなく、選ばれし者、ヴェルダンティアの希望であるライラだった。彼女の冒険は始まったばかりだった

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