005


ギルドホール、ラウンジ

アステイルとライトはラウンジに設けられた椅子に座っていた。


「皆さん、怖くないのですか?」


アステイルが呟いた。


「怖くないわけじゃない、かな」


「だったら何故、そんなに戦えるのですか?死ぬかもしれないんですよ」


「ここのギルドメンバーはただ信じているだけだよ」


ライトは遠い目をし天井を見上げる。


「信じる?何をですか?」


「アイツ、サアキスをだ。この〈インフィニット・ブレイド〉の世界でサアキスが一番最強のプレイヤーだと俺は確信している」


「最強?何を根拠にそんな事を?」


「今日、出逢ったばかりのキミはまだ信じられないだろうなっ」


「見た感じ強い人だとは思います。ですがこの世界最強は言い過ぎなのではないですか?」


ライトの言葉にアステイルが告げる。


「まぁ、そう思うのは当たり前だよな」


ライトはメニューを開きティーセットをオブジェクト化、テーブルに並べた。


「これは?」


「昔話をしよう。長くなるかもしれないから用意させてもらった」


「はい、ありがとうございます」


「そう、あれは世界が繁栄する以前、アイツを最強と知らしめた事件の話だ」





嘗て神々が存在していた天空の世界。

神々の恩恵が人々に繁栄をもたらしていた。

だが時代は移り変わり科学が世界を享受していった。

そして、いつしか人々は神々の存在を忘れてしまった。

それにより恩恵は途絶え、神々の恩恵の上に成り立つ科学の世界は崩壊。

力あるものが生き残る世界へと成り果ててしまった。

世界の名前は〈サグディード〉

別名〈インフィニット・ブレイド〉





フィールド。

ゴリラ型モンスターから逃げる銀髪の少年。


「うわぁああああっ」


少年は地面の出っ張りに足を取られ転倒。

モンスターは持っていた丸太を振り被った。

瞬間、モンスターはポリゴン片と成り果て四散。

燦めくポリゴン片の先には黒髪に丈の短い青い着物姿の少女が手に剣を携え立っていた。


「大丈夫ですか?」


少女が少年に問う。

少年の眼には煌きの中に現れた彼女が女神の様に神々しく見えていた。


銀髪の少年=サアキスと黒髪の少女=久遠くおん

それが二人の出逢い。

そして、伝説の始まり___

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